金木犀
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次の日の食事の時間も、また次の日も甲板で読書をしている時もいつも名無しさんの周りを彷徨いて邪魔ばかりしていた彼の姿はなく…。
それだけじゃなく、最近避けられている様な気までしてきた。
あれ…。
ゾロと話したのっていつが最後だったっけ…?
「そういえば最近彼、来ないわね。」
パラソルの下で一緒に読書していたロビンまでもがふと気付いた様に言った。
毎日毎日名無しさんを執拗に追いかけ回していたゾロの姿がなくなれば誰だって分かるだろう。
…やっぱりもう飽きたんだわ。
あんな言葉信用して私が本気にする前でよかった…。
あれほど望んでいた平穏な毎日が戻ってきてよかったじゃない。
でも何故だろう。
心がチクチクするのは。
傷は浅いが確実に心を捕らえて痛みを伴う。
名無しさんはルフィ達と一緒に欠伸をしながら暇そうに釣りをするゾロの背中をじっと見つめた。
その日の不寝番は名無しさんで一人で展望室に居た。
確か、前の不寝番の時はゾロも一緒だったっけ…。
私の順番だからいいって言ってるのに朝まで私が寝ないように付き合ってくれていたんだ。
その時以来ゾロは事あるごとに俺の女になれだの言ってきて名無しさんに迫っていた。
しん、と静まりかえった展望室が寒くて広く感じる。
そういえばゾロは毎日ここで鍛練しているんだよね…。
ちゃんと見たことなかったなぁと考えていると背後でギシッと梯子が鳴って誰かが上ってくる気配にビクリと肩が跳ねる。
サンジが夜食の差し入れに来てくれたのかな?と思っていたら顔を覗かせたのは意外な人物で。
「…ゾロ…。」
何だか久しぶりに会った気がして少し嬉しくなってしまった私とは対照的にゾロは手にお皿を持って突っ立ったままぶっきらぼうに言った。
「これ…コックからの夜食だとよ。」
コトッ、と床にお皿を置くと踵を返して立ち去ろうとするゾロを慌てて追う。
「…ま、待って…!」
思わず服の裾を掴んで引き止めてしまったがハッと我に帰って手を引っ込めた。
「ごめんなさい…。」