金木犀
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ガッ!!
「ッぶねェな…何の用だよ。」
昼寝をしていたゾロ目掛けてサンジの黒足が降り下ろされた所を刀で受け止める。
「名無しさんちゃんの事で話がある。」
ゾロのギラついた目は名無しさんの名前を聞いた途端に真剣な目付きになった。
サンジは煙草に火をつけるとフーッと一呼吸置いてから切り出す。
「追いかけるだけじゃなくて、たまには退いてみるのも肝心だぞ。」
「…何が言いてェ…。」
核心をつかずに回りくどい言い方をするサンジに苛つきながら問いただす。
「そんな餓えた獣みてぇな目ェしたお前に追いかけられたら俺だって逃げたくなるっての。」
「…。」
「敵に塩を送りなくねぇが少なくともお前より女心は分かってるつもりだ。」
俺に取られたくなかったら精々頑張んな、とだけ言って背中越しに手を振るとサンジは立ち去った。
「退いてみるったってどうすりゃイイんだよ…。」
惚れちまったモンは仕方ねェだろ。
名無しさんを手に入れたい一心で迫っていたのが間違いだったって言うのか?
すっかり眠気の覚めてしまったゾロは頭をガシガシと掻いて空を仰いだ。
私ったらいつの間にか寝ちゃってたみたい。
目を覚ますと空腹を訴えるお腹がそろそろ夕食の時間だと知らせてくる。
扉を少し開けて外の様子を伺い、誰も居ない事を確認すると名無しさんはダイニングへ足を進めた。
「名無しさんちゃん起きたんだね。今から呼びに行こうと思ってたんだよ。」
「遅くなってごめんなさい。」
全員揃ったダイニングで夕食の時間となった。
あれ?そういえば…。
いつも何となくゾロの隣に座らされていたけど空いていた席に座った名無しさんはゾロと一番遠い対角線の席で。
チラリと目線を送れば彼は静かに酒を煽っていた。
いつも食事をしながら腰に手を回したり肩を抱き寄せて「俺の女になれよ。」と囁いてくる彼はいない。
はぁ~。落ち着いて食事が出来るって何て幸せなんだろう。
サンジの料理に舌鼓を打って、食後のデザートまでゆっくり食べることができた。