鎮痛剤
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時計の2本の針が天を指す頃。
クルー達はそれぞれの部屋へと帰って行き、船は束の間の静寂に包まれた。
夜はまだ少し冷える。
部屋から毛布持ってきて良かった。
私は毛布にくるまりながら夜空を見上げると満月と無数の星が輝いている。
「キレイ…。」
ギシッ…ギシッと縄梯子を登る音。
「月に見とれている名無しさんちゃんの方がキレイだせ。」
「もう、サンジったら…。」
サンジは聞く方が照れ臭くなるような台詞でもサラッと言ってのける。
「プリンセス、今夜の夜食です。どうぞ召し上がれ。」
差し出された料理を受けとる。
「美味しそう!サンジありがとう。」
「それと、コレは食後の飲み物にホットココア入れといたから。」
サンジは水筒を床に置いた。
「わぁ、ありがとう。私ココア大好きなんだ~。サンジの作ってくれる料理は全部好き。」
そう言うとサンジが一瞬、困った様な表情になった。
「名無しさんちゃん…。」
「ん。なにサンジ?って…え?」
私は急にサンジに抱き締められた。
「えっと…サンジ?どうしたの?」
「俺の事は?」
「俺の事は…って?」
「俺の事は好き?」
「そっ、そんな急に言われても…。」
「…ごめん名無しさんちゃん。君を困らせるつもりじゃなかったんだ。」
サンジはゆっくりと私の体から離れて真っ直ぐと目を見る。
「俺は…名無しさんちゃんの事が好きだ。もちろん仲間としてじゃなく、1人の女性として。」
え…ウソ…。
サンジが私の事を好き?
「信じてもらえないかもしれない。女の子はみんな俺にとってプリンセスだけど、名無しさんちゃんだけは違う!特別な女の子なんだ。」
「…でも私は…。」
サンジは私の話を遮るように話し出す。
「ストップ。答えはまだ出さないで。俺、本気なんだ。例え名無しさんちゃんがアイツの事を好きだとしてもね。」
サンジが睨み付けるように下を覗いた先には…。
「ゾロ…。」
同じようにこちらを睨んでいるゾロが居た。
「名無しさんちゃん。明日の夜12時にダイニングで待ってるから答え聞かせてくれるかな。」
「…分かった…ちゃんと考える。」
サンジはニッコリ笑った。
良かった。いつものサンジだ。
「じゃあ、俺は戻るね。不寝番頑張って。」
そう言ってサンジは縄梯子を降りていった。
見張り台から下の様子を見ていると、降りていったサンジとゾロは目を合わせる事なくサンジはダイニングへと姿を消した。
サンジ…。
抱き締められた体が今も熱い。
真っ直ぐな瞳は確実に私を捕らえていた。
私の事、1人の女の子として好きだって…全然分からなかった。
サンジの作る料理は美味しいし、レディーファーストの紳士だし、優しいし、強さも兼ね備えている。
はぁ…。
時間くれたんだから真剣に考えないと失礼だよね。
私は溜め息をついて頭を抱えた。
「…おい百面相。」
「?!ぎゃっ。ゾロ!」
さっきまで下に居たのにいつの間にか縄梯子を登ってきていた。
「ぎゃってなぁお前…。」
「だって…!急に声かけられてビックリしたんだもん。」
「ワリィワリィ。」
ゾロはそれだけ言うと床にドカッと胡座をかくと、持ってきた酒に口をつけた。
何なの一体。
さっきのサンジとのやり取り絶対見られてたよね?
どうして何も言わないの。
「あの~ゾロ?何しに来たの?」
「何って、月見酒だ。今夜は満月じゃねェか。こんなに旨い酒はねぇだろ。」
ゾロは月を見上げて言った。
「お前も一緒に飲むか?それ、クソコックが置いてった飲み物だろ?」
あ、水筒に入ったココア…忘れてた。
「じゃあ、私も飲もうかな。」
「おぅ。」
水筒からカップにココアを注ぐ。
「じゃあ、いただきます…。」
「あァ。満月に乾杯。」