みちしるべ
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私が目を覚ますと、辺りは薄靄がかかっているが明るみが広がっていて朝が来たことを知らせる。
「お、起きたか。」
「ごめん…私、寝ちゃったね。重かったでしょ。」
「あァ…少しな。」
ゾロは大袈裟に肩をぐるぐると回してボキボキと骨を鳴らして背伸びする。
「ひどっ!これでも2キロ痩せたのに。」
「冗談だっての。本気にすんな。」
私の頭にポンッと手を乗せると口角を上げる。
もう…その顔するのは反則だよ。
ゾロは焚き火を足で踏み、鎮火を確認すると私に背を向けて踞んだ。
「乗れ、船に戻るぞ。チョッパーに足、診てもらわねェとな。」
足の痛みは引いていたが、ここは素直に甘える事にする。
私はゾロの背中に体を預けると彼は洞窟を出て歩き出した。
「…ねぇ…帰り道分かるの?」
「あ?適当に歩けばそのうち森を抜けるだろ。」
聞くだけ野暮だった私はガックリと肩を落とす。
「ちょっと待って。」
森の木々の間から届く太陽の光を確認して左手の方を指差す。
「こっちが東ね。町は北の方の方角にあったからコッチよ。」
「…なんか、すげぇなお前。」
素直に誉められた事と、ちょっとでも役に立てた事を思うと嬉しくなった。
私が指差した方向に歩き出す彼の背中に揺られながら少し溜め息をつく。
「あーあ、もうちょっとゆっくりデートしたかったなぁ。海軍にさえ見つからなければこんな事にならなかったのに。」
「昨日一晩中一緒にいたじゃねェか。」
「もう、ゾロは分かってないなぁ…手を繋いで一緒に町ブラをしたいの。それに昨日は私寝ちゃったじゃん。」
せっかくゾロと二人きりになれたのに寝てしまう失態をするなんて勿体無い事したなぁ。
「俺は寝てねェけどな…。」
ゾロが小声でボソッと呟いたので私の耳には届かなかった。
「え?」
もう一度言ってもらおうと聞き返しても上手く誤魔化されてしまう。
「なんでもねェ…名無しさんの足が治ったらまたデートしてやるよ。」
「え?ほんとに?」
「男に二言はねェ。」
「やったぁ!ゾロ大好き。」
私は後ろからゾロをぎゅっと抱き締めて足を揺らした。
「おわっ!?っぶねェな、首締めんな!大人しくおんぶされてろ!落とすぞ。」
「はいはーい。」
森が開けて目の前に道が見えてきた。
町まであと少し…。
fin.