みちしるべ
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「この辺に川でも流れてりゃよかったけどな…それも無さそうだ。」
「そうだね…。」
確かに耳を澄ませてみても水音は聞こえてこない。
「腹減らねェか?食糧探すついでに川も探して手拭い冷やしてきてやるからちょっと待ってろ。」
ゾロは立ち上がって上着を私の肩にかけると、この場を離れようとしたので慌てて服の裾を引っ張る。
彼を一人で行かせたら迷って絶対戻って来れなくなる!
「ま、待ってよ!私を置いて行かないで。お腹もすいてないし、足も大丈夫だから…ここに居てよ…。」
「…わーったよ。」
ゾロはそれだけ呟くと静かに隣に座った。
ぱちぱちと揺れる火を見ていると、洞窟内を吹く風の音が獣が吠える声のように聞こえて身を震わす。
「寒みィか?」
「…ううん、大丈夫。」
辺りはすっかり暗くなり焚き火のオレンジの光が二人の顔を照らす。
「お前なァ…大丈夫大丈夫って、こんな時くらい甘えろ。」
ゾロが私の肩をぐっと抱き寄せた。
「わっ…!」
背後から抱き締められて、トクン…トクンとゾロの心臓の鼓動が背中越しに伝わってくる。
「これでちったァあったけェだろ。」
「うん…。」
緊張している私はそれだけ呟くのが精一杯だった。
背中にゾロの温もりを感じて。
あったかいなぁ…。
私はそっと目を閉じた。
「…名無しさん?コイツ寝てやがる。普通寝るかよ。」
温もりに安心した名無しさんはゾロに寄り掛かったまま眠ってしまった。
「ったく、しゃーねェな。」
溜め息をつきながらも彼は口角を上げ、どことなく嬉しそうな顔で名無しさんの髪を撫でる。
「安心しきった顔で寝やがって。我慢してる俺の身にもなってみろ…。」