交差する想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
聞き慣れた声の先を見れば、眉間に深いシワを寄せたゾロが腕組みをして仁王立ちしている。
「お前にゃ関係ねーだろ。名無しさんちゃん、こんな奴ほっといて行こう。」
泣いてグシャグシャの顔、見られたくない…。
私は俯いたままサンジに肩を抱かれてゾロの横を擦り抜けようとした時、腕を掴まれた。
「待てよ。話がある。」
「…痛ッ…。」
思った以上に強い力で思わず眉根を寄せるが手は離れる事もなくゾロは言葉を続ける。
「名無しさん、俺はお前が好きだ。」
「え…嘘…?」
だって、さっき聞こえたのはナミが好きだって…。
「何を勘違いしてるか知らねぇが、俺が好きなのはナミじゃねェし、ナミも俺を好きじゃねぇからな。」
俺だって誰かを好きになる感情なんか初めてで、どうすりゃいいか分かんなくてよ…。
名無しさんの気持ちを知っているナミの奴が怒ってきたンだよ、とバツが悪そうな顔をするゾロ。
「ただ言えるのは…クソコックに抱き締められてる名無しさんを見て、取られたくねぇって思った。」
止まったと思っていた涙はまた頬を濡らす。
だけど、その涙はとても温かい涙だった。
「…私…、私もずっとゾロが好きだったの…。」
「…だ、そうだぜ?」
口角を上げて自信の表れを見せると肩に回されていたサンジの手が力なく落ちた。
「名無しさんちゃん…。」
「サンジ…あなたの気持ちに答えられなくてごめんなさい。」
「俺は名無しさんちゃんの幸せを願うよ…ただ、諦めたわけじゃないから覚えといて。マリモと喧嘩したらいつでも俺のところにおいで?」
「あァ?テメェになんざ名無しさんはぜってぇ渡さねぇ!」
ゾロは腕を引いて私の体を胸の中へすっぽりと抱き締める。
ゾロの広い背中に手を回して力を込めればお互いの温もりが心地いい。
「私…ずっとゾロにこうして欲しかったの。」
「俺もだ…ずっとお前に触れたくて堪らなかった。」
ねぇ…。
隣に居られるだけでいい、なんて嘘だった。
触れたい。
手を繋ぎたい。
ぎゅっと抱き締めて。
その温もりを覚えてしまったらもう離れられない。
私はもっと欲張りになってしまう。
ずっと一緒にいよう。
いつまでも…。
fin.