恋煩い
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甲板に下りると芝生の上に座っている名無しさんが目に留まった。
心此処に在らずといった感じで、ぼーっと一点を見ている。
近付く俺に気付いた様で、一瞬目が合ったかと思えば反らされた。
そんな彼女の顔は心なしか赤い。
「逃げんじゃねェぞ。」
ゾロは名無しさんの隣にドカッと座ると、こう言った。
「…。」
自分の気持ちに気付いてからゾロの事を避けてきた。
正直、ゾロとこんなに近い距離になるのは久しぶりで。
心臓がうるさいくらいにドキドキしている。
「なァ、名無しさん。俺に言う事はねェか?」
「…。」
「毎日あれだけ俺のこと見ているクセに何もねェのか。」
「…っ…?!」
ずっと見ていた事もバレていたなんて…恥ずかしすぎて穴があったら入りたいくらいだ。
今必要なのは、少しの勇気。
私の気持ち。伝えるなら今しかない。
いつも反らされる瞳に自信がなかった。
名無しさんが好きなヤツは俺じゃねェのか。
自意識過剰か、と己を笑った事もある。
色恋沙汰となるとどうも苦手だが
”女々しい”とまで言われて俺も黙っちゃいられねェ。
「俺は、名無しさんの事が好きだ。」
「…え?」
「お前は何て顔してンだよ。」
予想外の告白に呆気に取られていると、頬を抓られた。
夢…じゃないよね?
だって抓られた頬が痛い。
「あの…私もずっとゾロが好きだったの…。」
隣のゾロの顔をそっと盗み見ると、口元を右手で隠している。
あれ、心なしか耳が赤いような…?
「ヤッベ…すげェ嬉しい。」
ゾロの照れたような表情を初めて見て、くすぐったい気分になる。
「私も…。」
2人の視線が交わって熱を持つ。
思いが伝わって笑顔になる。
「もう目を反らすんじゃねェ。ずっと俺だけを見ていろよ。」
fin