香り
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今日の不寝番は名無しさん。
2人きりになれるチャンスを逃すワケがなかった。
展望台に顔を出すと、暗い夜の海を見ている名無しさんの背中。
コツ…コツ…
足音を立てて近付けば振り向く彼女。
「…ゾロ…。」
泣きそうな、浮かない面持ちの名無しさんの表情を見て、心臓がチクリ。とした。
こんな顔をさせてるのは他の誰でもない、俺だ。
「名無しさん…。」
ふわり。と腕の中にすっぽりと包み込む様に抱き締めた。
鼻を擽るのは、俺の好きな名無しさんの匂いだ。
「昼間の事…悪かった。」
「…。」
「ナミから全部聞いた。」
お前は俺より年下だって事をすごく気にして。
大人の女になりたいって背伸びして使った事もねぇ香水に手を出した。
クソコックと料理をしたり、香水貰ったりしたのは、俺にヤキモチ焼いて欲しかったんだろ?
「だって…ゾロは大人だし…釣り合うような女性になりたかったの。」
「バァーカ。だから子どもだって言ってンだよ…。」
呆れた様に溜息をついて、名無しさんの額をピン!と指で弾く。
「痛っ!ホラ、また子どもだって言ったぁ。」
額を押さえながら涙目になってる名無しさん。
「釣り合うとか、釣り合わねェとかじゃねェ。そのままの名無しさんに惚れてんだ。」
「…ゾロ…。」
言葉の意味を理解して段々と赤くなっていく名無しさんの顔。
「それに…好きな女が他の男と2人きりで俺が妬かないとでも思ったか?」
名無しさんは目を伏せると、頭を横に振る。
「それ以上煽んな。俺は独占欲が強いんでね。」
俺はニヤリと口角を上げた。
「香水なんざ付けて無理に大人ぶる必要もねェ。俺は名無しさんの香りが好きだ。」
ゾロは名無しさんの顎を軽く掴むと唇を落とした。
銀糸が二人の間を名残惜しそうに後を引く。
「私も、ゾロが好き…。」
「あァ。分かってる。」
抱き締める腕に力を込めて。
「ぜってー離さねえから覚悟しとけ。」
二つの影が一つになる月夜の晩
二人の想いは重なり合う
それは決して離れる事はない
二人だけの甘い秘密
fin