香り
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「美味しいー!」
ケーキを食べて笑顔の彼女を見ていると、自然に俺の口元も緩みそうになる。
名無しさんは俺の視線に気付いたのかフォークの手を止めた。
「ゾロのケーキはキッチンにあるってよ?持ってきてあげようか?」
小首を傾げた名無しさんの口の端には生クリーム。
…ったく。
だから子どもだって言ってンだよ。
「いや、甘ぇモンは苦手だ。それに…。」
名無しさんの体を引き寄せて、口に付いていた生クリームを舐めとる。
ふわっ。と甘ったるいバニラが一瞬香った。
「…?!」
「俺はこれで十分だ。」
口角を上げて笑うと再び甲板に寝転んだ。
「ごっそさん。」
「…もぉ。」
余りの素早い出来事に言葉を失って顔を真っ赤にしている名無しさん。
あー、クソ。
一々反応が可愛すぎんだよ。
ゾロが彼女と付き合うようになってから毎日が新鮮で、楽しくて。
端から見ても、あのゾロが名無しさんにベタ惚れなのは一目了然。
俺だけのモンにしてェ。と思うのは当然の事だった。
翌日。
いつものようにジムで鍛練していると名無しさんが顔を出した。
「はい。ゾロお疲れ様。」
「おぅ。」
手渡されたタオルを受け取り、床に座ると汗を拭った。
「あとね、コレもどうぞ。」
にっこり笑う名無しさんが差し出したのはガラスの器に入ったシャーベット。
これは甘くないから大丈夫だよ。という言葉を信用してスプーンを口に運ぶ。
「…レモンか?」
「当ったりー。レモンシャーベットです。」
シャーベットの冷たさは火照った体を気持ちよく冷やしてくれる。
「私にも一口頂戴。」
横で口を開けてる名無しさんにスプーンで一掬いして食べさせた。
「んー!冷たくて美味しい。」
「あぁ、うめェな。」
「サンジに教えてもらって、私が作ったんだよ。」
それは聞き捨てならねぇな…。
「あのラブコックと二人きりで…か?」
「え?そうだけど…。シャーベット作ってただけだって!」
名無しさんはゾロの機嫌を損ねた事を察知したのか慌て出す。