不眠
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「名無しさん、手ぇかしてみろ。」
すっ…と差し出された手をとると俺の左胸に当ててみる。
「分かるか?ドキドキしてるのが。」
「…うん。分かる。」
心臓は今にも破裂しそうなくらいに脈をうつ。
「好きな女と一緒にいればドキドキする。緊張もする。」
「ゾロでも緊張するの?」
「当たりめぇだ。それは名無しさんといる時だけだからな。」
胸に当てていた手を引き寄せると名無しさんは大人しく従って、俺の腕の中にすっぽりおさまった。
「俺だって名無しさんの事お前と同じくらい、それ以上に愛してる。」
抱き締める腕の力を強めると、それに応えるように背中に腕を絡ませてくる。
「ゾロ…ずっとこうして欲しかったの…。」
名無しさんは嬉しさと緊張のあまり声は掠れ、肩を震わせている。
「泣くなって。」
背中を優しく撫でて。
髪に触れて、頬に手を添える。
「名無しさん好きだ。」
柔らかい唇にキスを落とせば、目を閉じて一筋の涙が流れ落ちた。
「私も好き。ゾロ大好き!」
そう言ってぎゅっとしがみついてくる。
そんな名無しさんが堪らなく愛おしくて。
なんで早くこうしてやらなかったんだと今までの自分の行動を悔いた。
「ゾロの体あったかい。」
「あぁ、あったけェな…。」
頬にキスをすると、その辺に転がっていた毛布を敷いて名無しさんをそっと寝かせた。
「今日はずっとついててやるから安心しろ。」
「うん。私なんだか眠くなってきちゃった。」
そう言った名無しさんの目は、とろんと潤んでいた。
それはさっき飲んだ酒のせいなんかじゃない。
「ゾロ…手繋いでて…。」
「大丈夫だ。ドコにも行きゃしねェよ。」
ゾロと名無しさんの手はもう離れないとでも言うかのようにぎゅっと繋がれた。
固く結んだ手の力が抜けて名無しさんはスーっと眠りに落ちた。
いつの間にか雲から顔を出した月が2人を照らし闇夜に浮かぶ。
微かな寝息をたてて上下する胸。
少し開かれた薄い唇に目を奪われて欲情を掻き立てられる。
「クソッ。」
少し赤くなった顔を無理やり背けると名無しさんの横に寝転んだ。
本当に好きだから軽々しく口に出せなかった。
大事な存在だから簡単には手を出せなかった。
お前が思っている以上に俺は名無しさんに夢中なんだぜ…。
安心しきった顔で眠る愛しい恋人。
髪をそっと撫でてキスを落とす。
「おやすみ名無しさん。愛してる。」
と呟いたのを月だけが静かに見ていた。
fin