不眠
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クルー達が寝静まったサウザンドサニー号。
嵐の過ぎ去った波は穏やかな揺れで皆の眠りを誘う。
1人を除いて…。
Insomnia
名無しさんは今夜何度目か分からない寝返りをうつ。
同じ部屋の仲間はとっくに深い眠りの中で微かに寝息をたてているというのに私は目が冴えて一向に眠れる気配がない。
「…またか。」
目を閉じて頑張ってみても一向に眠気が襲ってこないのだ。
羊を数えたけどダメ。
ホットミルクを飲んだけどダメ。
もう、諦めて夜風にでも当たってこよう。
寝ている2人を起こさない様に注意しながらベッドから抜け出した。
「はぁ…。」
船の手摺りにもたれ掛かって溜め息をつく。
空は生憎の曇り。
満天の星も月の光さえも見えない。
海を眺めても地平線の彼方まで闇が続いている。
夜、寝付けなくなったのはいつからだろう。
夜寝れない事がこんなにストレスだなんて。
ぼ~っと真っ暗な海を見ていたらそのまま引摺り込まれそうな恐怖を覚えた。
ブルッと震えた体を自分で抱き締めた。
少し冷えたかな。
そろそろ部屋に戻ろうか…。
「名無しさんか?こんな時間にどうしたんだよ。」
後ろから急に名前を呼ばれて驚く。
「ビックリしたぁ…ゾロこそどうしたの?」
「俺ぁ今日、不寝番だ。酒が終わっちまったから探してたんだよ。」
そう言ってお酒の入った瓶を掲げた。
そうか…お酒。
お酒を飲めば眠れるかもしれない。
「ね、ゾロ。私も一緒に飲んでもいい?」
「お前普段飲まねぇだろ。俺はいいけどよ、大丈夫かよ?」
「うん。大丈夫。」
一緒に酒を飲む事に決まった2人は見張り台へと移動した。
「名無しさんが飲むなんて珍しいじゃねぇか。」
「ん~。最近眠れなくてね。お酒飲めば少しは寝れるかなと思って。」
飲めない、のではなくて飲まないだけなのでお酒は弱いわけじゃない。
普段滅多に飲まない私はゾロとお酒を酌み交わす事なんて初めてかもしれない。
お互い向き合って座り、軽くグラスを合わせ乾杯した。
「そうか。残念だか、俺ぁ寝れないヤツの気持ちは分からねぇ。」
ククッと口角を上げた。
「そうだろうね…ゾロっていつも寝てるし。羨ましいよ。」
「なぁ、何かあったんじゃねぇの?」
「何かって?」
「寝れないほど不安になるような事だよ。あんだろ。」
ない、と言えば嘘になる。
「その顔は図星だな。」
何も答えられないでいる私を前にゾロはさらに話を続けた。
「俺にも言えないような話か?恋人のクセに信用されてねェんだな。」
「ちがっ…。そういうワケじゃないけど。」