ホワイトクリスマス
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「何よ。へらへらしてないし。それよりゾロは私なんかに付き合ってていいの?」
「あ?」
脳裏にくいな先輩の事が過る。
言い出しにくいけど、ハッキリさせたい。
「くいな先輩だよ。先輩、ゾロの事好きだと思う…。」
「はぁ?!んな事あるか。」
ゾロは思いっ切り全否定してるけど、それって鈍感なだけじゃ?って思った。
「あの女の頭の中には勝負の事しかねェよ。それに、彼氏居るみたいだしな。」
「えぇ!?そうだったんだ…。」
剣道部全体の中じゃ二番目に強いゾロに闘志を燃やしての鋭い視線だったらしい。
しかも先輩、彼氏居たんだぁ…。
知らなかった。
くいな先輩の気持ちがゾロへの恋心じゃないと分かって、何だか胸のもやもやが取れた気がする。
ん?何でだろう。
「ゾロ?どうしたの…?」
ゾロが歩いていた足を止めたので、私も自然に足を止める事になる。
もうすぐで、私の家に行く道とゾロの家へ向かう道との分かれ道の手前。
ゾロが傘を無言で返してくる。
そのまま彼はバッグをごそごそ漁ったと思うと、クリスマスカラーで可愛くラッピングされた小さな包みを取り出した。
「名無しさんにクリスマスプレゼントだ、お前にやる。」
そっと手を取られた中に、それが渡される。
「え…あ、ありがとう?ちょ、ちょっと待って!」
ゾロからの突然のクリスマスプレゼント。
思いもしなかった事に頭が混乱して真っ白になる。
私は傘を肩に掛けると、慌てて包みを開けて中身を見た。
「わ…。」
包みから出てきたのはシルバーの細いブレスレット。
キラキラと光を反射していて、細工された小さな石がはめられている。
私でも一目で高価な物だと分かった。
「キレー…。」
思わずうっとりと眺めてしまうが、はっと我に返った。
「何でこんな急にプレゼントくれるの?しかもこんな高そうなもの…。」
「そんな高くねェよ。名無しさんがバイト頑張ってるみてェだから…ただのクリスマスプレゼントだ。」
ゾロは私の手の中からブレスレットを摘まむと、留め具を外す。
「手ェ出せ。」
「でも…。こんなの貰える理由無いよ?」
おずおずと遠慮がちに手を差し出すと、ゾロは器用にそれを手首にはめてみせる。
少し黙った後、ゾロが言った。
「俺が名無しさんを好きって事は理由になるか?」
「え、?うそ…。」
目の前のゾロは真剣な眼差しで私を見下ろす。
とても嘘を言っている様には見えなかったけど、そう呟かずにはいられない。
だって、ゾロが私の事を好きなんて。
そんな素振り見せなかった。
全然分からなかったもん。