ホワイトクリスマス
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、雪…。」
寒い、寒いと思っていたらチラチラと降り始めた暗い空を見上げる。
私の心の中もこの空みたいに真っ黒な色をしている…と思う。
ホワイトクリスマス
「え、一緒に帰れないの?」
道場の前、開けっ放しになったそこからは威勢のいい掛け声と竹刀がぶつかり合う音が響いている。
「あぁ…。」
手拭いで汗を拭くゾロは言葉少なに返事をするので正直カチンときた。
家が近所同士で幼馴染のゾロとは腐れ縁で小学校から高校まで同じ。
暗くなるのも早いし、帰るの危ないだろうから送ってやるって言い出したのはゾロの方でしょ!
約束の一つも守れないの?
って言葉は無理矢理飲み込んだ。
道場の奥からこっちを見る視線に気付いたから。
…くいな先輩だ。
「じゃあ練習終わるまで待ってる…。」
「いつ終わるか分からねェ。その後は特訓つけてもらうからな。」
うちの高校は正直剣道の強豪校なので、ゾロが頑張ってるのも分かる。
分かる、けど。
「先輩と二人きりで?」
「あ?」
「何でもない!じゃあ私、邪魔しちゃ悪いから帰るね。明日から来ないから…練習頑張って。ゾロ、ばいばーい!」
「あ、おい!名無しさん?」
茜色が深い藍色に色を変えるのは早い。
秋の日は何とやら。
私は走って、走って。
視線を、声を振り切る様に逃げた。
特訓に頑張るゾロを応援したい気持ちはある。
それを邪魔してまでゾロに送ってもらう理由は私にはない。
家に帰るなりベッドにダイブ。
「はぁ…。私ったら何してんだろ。」
ゾロの事はずっと幼馴染だと思ってた。
じゃあこんなに胸が苦しくなるのは何でだろう。
…きっと今頃、くいな先輩と二人きりで特訓してるんだ。
先輩は剣道部憧れの存在だって同じクラスの子が言ってた。
ゾロと話していた私を見つめるあの目を思い出して少し寒気がした。
もしかして先輩って…。
ゾロの事…?
ピロリン♪
ポッケに入れたままのスマホがラインの着信を知らせる。
友達のナミからだった。
“名無しさんにお願い♡バイト人手足りないんだ。手伝ってくれない? ”
ナミって何のバイトしてたっけなぁと思い返してみた。
高校の成績はいつもトップクラスなのにバイトにまで精を出して週にいくつか掛け持ちしてた気がする。
帰宅部の私は家に帰ってだらだらするだけ。
バイトかぁ。
私も何かに頑張ってみよう。
そうすれば余計な事なんて考えなくなるはず。
それに友達のお願いは断りづらい。
私は早速ナミに返事を送った。
“OK♡私でよければ。”
ピロリン♪
“じゃあ明日放課後、校門で待合せね!”