不器用な恋
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「名無しさん寒くねェか?」
「ん。大丈夫。」
今日は波も穏やかで風も吹いていない。
いい夜だ。
私とゾロの二人は船首の甲板に腰を下ろして隣同士座る。
「じゃ、さっそく貰うな。」
ゾロはまずチョコプレートを一噛り、ケーキも一口食べた。
口に合うか不安でゾロの表情を盗み見る。
「ちゃんと旨ェからンな顔すんな。」
「…。」
甘いもの苦手なのに。
ケーキ食べてくれた。
しかも美味しいって言ってくれてすごく嬉しい。
頑張って作って、本当に良かったぁ…。
「ゾロ、もう気付いてるかもしれないけど一つ言わせて。私ね、ゾロの事好きなんだぁ…。」
笑って誤魔化しながらも緊張で体は強張る。
私の心まで見透かしそうな視線からは目が離せない。
「やっと私の気持ち言えた。それだけでいいの。大丈夫、ゾロの野望の邪魔はしないから…好きなのは私の我儘。ゾロに答えは強制しない。」
ゾロに口を開かせまいと矢継ぎ早に話す。
拒否の言葉が怖くて、大丈夫だと自分に言い聞かせて保身するしかなかった。
あぁ、泣きたくなんてないのになぁ。
勝手に視界は歪む。
誕生日に主役を困らせるなんて。
こんなのお祝いじゃないじゃん…。
「名無しさんの気持ち、邪魔になんかならねェ。それで世界一になれなかったら俺は所詮それまでの男って事だ。」
「そんな!ゾロは強いよ…。」
毎日欠かさず鍛練するところも見てきた。
ずっと努力してゾロが強い事、私は知ってる。
「だが、好きな女に自分の気持ち一つ言えねェ情けない男だって事だな。」
「え…?」
くしゃっと頭撫でられ、ゾロが言った。
「俺の答えはお前と同じ。名無しさん、お前の事が好きだ。」
「う…そ?」
ゾロが私の事を好きだと言った。
夢みたいな事だけど、それは確かに現実で。
頬を伝った涙を拭う手の冷たさが私に教えてくれた。
「「カップル誕生おめでとうー!!」」
「きゃ…!?皆、いつからそこに居たの!」
クラッカーの音に驚き、ゾロと振り返れば笑顔のクルーの姿がそこにあった。
「そりゃあもちろん名無しさんちゃんがマリモに」
「告白する所から、ゾロが答える所まで全部ね♡」
「てめェら…」
あ、ゾロの額に青筋が…。
「覗き見とは良い趣味してんじゃねェか…覚悟は出来てるんだろうな?」
「うふふ。お邪魔しちゃ悪いからあとは二人でごゆっくり~。」
風のように去っていった皆を見送ると、二人で顔を見合わせて笑った。
「ゾロ、生まれてきてくれてありがとう。来年も一緒にお祝いしようね。」
「あァ…この先もずっとな。」
fin.