不器用な恋
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「…名無しさん?」
「あ、ゾロ起きた?」
寝る前は青く澄んでいた空もすっかり色を変え夜の色を運んできている。
昼寝をしていたゾロには厚手の毛布。
私も自前の膝掛けをしてゾロが起きるまで読書をしていた。
「この寒いのに何も掛けないで昼寝してるなんて風邪ひいちゃうよ。」
何て言っていると冷たい風がさらさらと頬を撫でて私はくしゃみを一つ。
「くしゅっ…。」
「ったく、俺のことは放っておきゃいいものを。」
ゾロは自分に掛けられていた毛布を私の肩に掛けてくれた。
その優しさがすごく嬉しい。
「ありがとうゾロ。明日の主役が風邪ひいちゃったら大変だもん。放っておけないでしょ?」
「俺ァいいんだよ。鍛えてんだから。
」
「そうだよね…ゾロ、強いもんね。」
私みたいな弱いのいたら足手まといだよね。
やっぱり気持ち伝えるの迷惑かな…。
止めとこうかな、どうしよう。
今からでもあのケーキ作り直そうか…!
ぐるぐると嫌な考えばかりが頭を巡り立ち上がろうとした時、ゾロが口を開いた。
「名無しさんさっきは悪ィ…。お前の気持ちも知らないであんな事言っちまった。」
「大丈夫、気にしてないよ。飾り付けもケーキのお手伝いも私がやりたかったから。好きでやった事だからいいの。」
「そうか…明日、名無しさんのケーキ楽しみにしてるぜ。」
夕陽に染まるゾロの笑顔はとても眩しくて。
やっぱり私の気持ちは止められそうにない、と自覚する。
「「ハッピーバースデーゾロ!!」」
「「野郎共宴だー!!」」
ゾロの誕生日当日。
すっかり日は落ちたが、船上では盛大な宴が開かれている。
パーティーも終盤に差し掛かり酔い潰れた者も出てきた頃。
「ゾロ、誕生日おめでとう!」
私はケーキを持ってゾロの前へそれを置く。
なんて事ない普通のクリームのフルーツケーキだ。
ただ一つを除いては。
“Happy Birthday zoro♡”
名前の後ろにハートマークが書かれたチョコプレート。
そのプレートまでがハートのモチーフをしていて、勿論昨日私が作ったものだ。
「わぁ、可愛いハートのケーキじゃない!」
「うまほー!早く俺にもくれ!」
「ルフィ待て、一応クソマリモの誕生日なんだから遠慮しろ。」
周りの喧騒の中、私はゾロの反応を見るのが怖くて俯く。
「ゾロ、甘いもの苦手でしょ?だから甘さ控えめで作ったんだけど…無理して食べなくてもいいからね。」
「いや、お前が俺の為に作ってくれたんだろ?無理なんかしてねェよ。」
サンジが手際よくケーキをカットして皿に移し、ゾロの分にはチョコプレートも乗せて貰う。
それを合図にルフィがケーキにがっつき始めた。
「名無しさん、ちょっと場所移すか。」
ここじゃ騒がしくて落ち着いて食えやしねェ、と苦笑するゾロの後を少し距離を置いてついていった。