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「なァ、名無しさん。」
「なんですか?」
お腹一杯だったはずなのにケーキは別腹で、もうすぐ食べ終わりそうな時にゾロ先輩が呼び掛けてくる。
「お前さっき俺が誕生日覚えているの意外だって言っただろ。言っとくが、俺はどうでもいい奴の誕生日なんて覚えねェからな。」
「…え?」
ゾロ先輩が私の誕生日を覚えていてくれた。
それって…つまり。
「フッ、名無しさん顔すげぇ真っ赤だぜ。」
先輩、私自惚れてもいいですか?
「ゾロ先輩…。」
「名無しさんは、」
どうしよう。
心臓がドキドキと胸を突き破りそうなくらいに大きく脈を打っているのが分かる。
「仕事で失敗しても我武者羅に前向きに頑張って。」
それはゾロ先輩が居てくれたから。
「俺が本社へ転勤になった時は自分の事みたいに喜んで。だけど実は寂しそうな目をしていた。」
出世街道まっしぐらでやっぱり優秀なゾロ先輩は凄いなぁって思ったよ。
でも、遠くに行ってしまうみたいで本当は寂しかった。
「そして2年間、お前は必死で俺を追い掛けて来た。」
またゾロ先輩と一緒に仕事がしたかったから。
…理由はそれだけじゃないけど。
「優秀な後輩…いや、俺にとってお前は仕事仲間以上の女だな。」
「…えっと…それは。」
「それ以上は自分で考えろ。」
後輩以上の女ってなに!?
そこまで言って教えてくれないなんてゾロ先輩焦らすのが上手すぎますよ。
ってか、あなたドSですか!
「えー!そんな、先輩それは酷すぎます。」
「いや、ここじゃちょっとな。」
そう言って目線を動かした先には金髪のウェイターさんが柱の影からこちらに注目してニヤニヤ笑いを堪えているみたいだ。
「場所変えて飲み直そうぜ。…俺のマンション、来るか?」
「え、っと。」
正直、ゾロ先輩のお部屋への急なお誘いに少し躊躇した。
「あー、なに焦ってんだ俺は。別にどっか他の店でも…。」
ガシガシと後頭部をかきながらぶつぶつと独り言をいうゾロ先輩。
それが何だか可愛くて。
意外な一面が見られて嬉しくなる。
「いいですよ。ゾロ先輩のマンションお邪魔させて下さい。」
「名無しさん、お前男の部屋へそう簡単に上がり込むなよ。」
「先輩から誘ったんでしょ。今更何言ってるんですか。」
「あー、そりゃそうだけどよ。」
「それに私、ゾロ先輩以外の男性のお部屋に簡単に上がり込んだりしませんからね。」
フフッと笑い合って、2年間の空白が一気に縮んでいく気がした。