感覚
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ほんと久しぶりですね!何かゾロ先輩背ぇ伸びました?」
「伸びねェよ!この年でまだ成長してたら逆に怖ェだろ。」
「そうですかね~。でも何か前より、」
“カッコよく見えます。”
「んだよ。お前、見とれてんのか?」
「ばっ、ばか言わないで下さい。誰が先輩なんて…。」
二年ぶりの再会でもその独特な笑い方は変わらず私の胸を高鳴らせる。
そこへ、料理を持ってきてくれたウェイターさんが私の手を取って言った。
「俺の店にようこそマドモアゼル。このクソマリモにこんなに可愛らしい後輩の女性が居たとはね。」
クソマリモ…?
一瞬頭の中にハテナが浮かんだが、なるほど髪の毛の色かぁと一人で納得。
「うっせ、気安く触んなグル眉。料理置いたらさっさと消えろ。」
ウェイターさんはサラサラ金髪の青年で女性客を皆虜にしそうな美しさだ。
「おっと、危ねー。冗談だよ冗談。それではマドモアゼル、ごゆっくり。」
「仲良いんですね。」
「どこを見りゃそうなる!…ッチ、昔からの腐れ縁だ。」
心底嫌そうに眉間に皺を寄せ、ワインを煽るゾロ先輩が何だか可笑しかった。
「それにしても名無しさんも来週からやっと本社勤務か。」
「ゾロ先輩には二年も先越されましたもんね。」
「まァ名無しさんの方が2歳年下だから仕方ねぇが…俺ァ優秀だからな。」
ハハッと声を上げる先輩の笑顔に懐かしさを覚える。
私がまだ新人だった頃。
教育係のゾロ先輩に誘われ昔はよく二人で飲んで仕事の愚痴を言い合ったものだ。
しかし本社へ転勤になったゾロ先輩に置いてけぼりをくらった私は必死で頑張って漸く本社転勤への切符を手にした。
ゾロ先輩を追い掛けた、と言っても間違いじゃない。
またこうやってゾロ先輩と働ける事がすごく嬉しかった。
ゾロ先輩と毎日会えるんだって思うだけで仕事も頑張ろうって思えてくるのが不思議。
「でも先輩がこんなオシャレなお店知ってるなんて意外です。」
以前よく行ったお店は居酒屋とか焼き肉とかファミレスばっかりだったからなぁ。
それはそれですごく楽しかった。
居酒屋の雰囲気とか好きだし。
「あ―、まァな…。」
何だか言葉を濁す返答に不安が頭を過る。
本社勤務になって女性からのお誘いとか沢山あるんだろうな…。
先輩カッコいいし。
本社のお姉さま方が黙ってるはずないもの。
「あー、しかも先輩にあんなカッコいい幼馴染がいたなんて全然知らなかったです。」
「…お前はああいうのがいいのか?」
「え?」
「いや、何でもねェ。」
私ったら何か変な事言っちゃったかな。
一瞬、眉間の皺が深くなったのを私が見逃すはずはない。
でも、それから他愛もない話をしたりしてゾロ先輩の様子が変だと感じる事はなかった。