Kiss
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「おい、ほらよ。」
「ありがと。」
酒瓶を受け取る時、少し指先が触れた気がした。
それだけで心臓が早鐘を打つのに、目の前の彼にこんなに凝視されていると更に飲み辛い。
ごくり。
「じゃあ、いただきます。」
覚悟を決めて酒瓶に口を付けた。
「おう。味わって飲めよ。」
鼻を掠める強いアルコール臭に一瞬くらりと目眩を覚える。
飲んだのはほんの一口分なのに液体が通った喉は一瞬で熱くなる。
こんな強いお酒を水みたいに飲むゾロに味わえだなんて言われたくないと思った。
「美味ェだろ?」
「味なんて、刺激が強すぎて分かんないよ。私が普段飲んでるのと全然違うんだから。」
「ははっ。まだ子どもの名無しさんには早ェか。」
ゾロは声を上げて笑いながら私の肩を叩く。
喉も熱いけど、触れられた所も熱い。
「子どもって1個しか違わないでしょ。私だって大人だし。」
「へーへー。子どもは早く水飲んで寝ろ。」
ドキドキする心臓に平静を装って返事する私。
心臓が煩いのはお酒を飲んだせいなのか。
「それとも。」
持っていた酒瓶がゴトリ。と音を立てて落ちた。
それは、ゾロが急に私の肩を抱き寄せてきたからで。端正な顔立ちが直ぐ目の前にある。
「もっと飲みてェなら相手してやるぜ。」
お酒の香りのする吐息を感じる程に近く。
目がそらせない。濃緑の瞳が私を捕らえて離さない。
少しでも目を反らしたら喰い殺されてしまいそうな圧を感じたからだ。
きっと今の私の顔は真っ赤だろう。
突然の事に言葉が出なくて阿呆みたいに閉じられない唇をゾロの指が優しくなぞる。
「俺ァいつでも上に居るからな。」
体温が離れていく。
まるで何事も無かったかの様に落ちた酒瓶を拾い上げ、展望台へ続く縄梯子を昇って行った。
「~~~!」
口を抑えて声にならない声を上げながら私はその場にへたり込んだ。
fin.