180度
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そこにはガラの悪そうな二人組がニヤニヤと気味の悪い笑顔を浮かべていた。
「いえ、何でもないです。失礼します。」
名無しさんは肩に乗せられた手を払い除けて立ち去ろうとするが男に手首を強く掴まれ、それは叶わない。
靴擦れを起こした足じゃ逃げようにも逃げられずに簡単に手首を捻りあげられてしまった。
「ッ痛…!何するのよ。」
キッと睨み付けても男たちは動じず舌舐りをすると顔を近付ける。
「俺らが話を聞いてやろうって言ってんだ。可愛がってやるから邪魔者が居ない静かな場所に行こうぜ?」
広場を行き交う人々は面倒事には巻き込まれたくなく視線を反らすか、遠巻きに様子を伺う者ばかり。
「嫌だって言ってるでしょ?!」
抵抗虚しくずるずると引き摺られていく状態で名無しさんは悔しさを滲ませて声を上げた。
「もうっ止めて!」
「…悪ィ、遅くなった。」
その直後、空から聞き覚えのある声が聞こえてきて。
「誰だ!?」
見上げた名無しさんの目に飛び込んできたのは黒い影。
ドカッ!!
一人の男の顔の上を踏み締めて刀で打撃を与えると、地面に降り立った。
「ゾロ!」
名前を呼ばれた彼は口の端を上げて笑う。
それは名無しさんが今まで見たことのないゾロの表情だった。
「ゾロだと?あの海賊狩りのロロノアゾロか!?」
「名無しさん、怪我はねェか?」
「…え、あ…うん。大丈夫。」
一瞬聞き間違いかと思った彼の言葉に心臓が大きく跳ねる。
今…名前で呼ばれた?
ぎゅっと締め付けられた胸と、ドキドキと脈が早くなるのを感じた。
「それならいい。だがお前に触れた事、後悔させてやらねェとなァ。」
名無しさんの手首を掴んでいた男も夜叉の様な顔のゾロを見て背中を向けて逃げ出そうと駆けた。
「…逃がさねェ。」
刀を抜いたゾロが男に斬りかかろうとしたが名無しさんはそれを止める。
「ゾロ、待って!…、痛っ。」
「おい!危ねェだろ、どうして逃がすんだ!」
「もう私は大丈夫だから…。」
やだ、何かまともにゾロの顔見られないかも。
「まァ、お前がそう言うなら仕方ねェ…。コイツらも命拾いしたな。」
そう言ってゾロが目配せした先には刀背打ちにも拘わらず地面に伸びている男。
「またお前って言ってる!さっきは名前で呼んでくれたじゃない。」
恥ずかしさを隠そうと振り上げた手を簡単に避けて手首を掴むゾロ。
「…ロビンから聞いた。足、怪我してんだろ。」
「こんなのただの靴擦れよ。どうせ似合わない靴履くからだって笑うんでしょ。」
目を伏せた名無しさんを見下ろすゾロは口元を緩める。
「ハッ。笑いやしねェよ。」
「…本当に?」
伏し目がちの名無しさんは疑う様にゾロを見上げるが真剣な眼差しで見つめられて息を詰めた。
「あァ。だが、その格好で出歩くのは感心しねェ。早く船に戻るぞ。」
「え。何で…って、キャッ!?」