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結局ゾロはその日の夕食まで展望台から下りてこなかったし。
夕食の時だって何事もなかったみたいに黙々と酒を飲み、食事を済ませた。
何よ…あんな事言っちゃって。
意識しちゃってる私が馬鹿みたいじゃない。
…って、全然ゾロの事なんか意識してないけどね。
布団に潜り込むと、昼間捕まれた肩の感触を思い出し。
熱くなる頬を振り切る様に頭をブンブン振ると名無しさんは目を閉じた。
*
翌日。
無事に島にも着き、出掛ける準備も整った。
「あら名無しさん、可愛いわね。」
久しぶりの陸地が嬉しくて目一杯のオシャレをしたのだ。
「えへへ。ロビンありがとう。」
薄いピンクのワンピースに白いミュール姿の名無しさんはロビンに続いて船を降りる。
「彼には挨拶してこなくてもいいの?」
振り返ったロビンがサニー号の上に視線を移す。
名無しさんは振り返る事なく、目の前で手を振った。
彼、とはきっとゾロの事だ。
「いーのいーの。さっき見たらまた甲板で寝てたから。約束なんて忘れてるって。」
だって、あの時以来何も言ってこないし。
きっと気紛れで声をかけてきたんだって思ったら余計に腹立たしい。
船番、と称して昼寝をしているゾロなんて気にしてられないわ。
名無しさんはこれから向かう楽しい町の事だけを考えてロビンと繰り出した。
二人は服や雑貨、本屋を見て回りショッピングを楽しんだ。
「こんなことなら誰か荷物持ちを連れてくればよかったね。」
大量の紙袋を持って歩く名無しさんの足元は覚束無い。
「名無しさん足、大丈夫?」
「…ちょっと痛いかも。」
慣れないヒールで靴擦れをおこしてしまった名無しさんは立ち止まる。
平気な振りして装っていたけどロビンにはバレちゃってたみたい。
「無理するのはよくないわ。座ってなさい。」
広場の噴水の縁に腰掛ける様に促されて座ると、ロビンはハナハナの能力で 名無しさんの荷物を持ち上げた。
「先に荷物だけ船に置いてくるから名無しさんは休んでて。」
涼しい顔をしているが大量の紙袋を持っているロビンに申し訳無さが増す。
「ロビン、ゴメンなさい。」
「いいのよ。気にしないで。」
彼女はニッコリと笑かけてくれて名無しさんの罪悪感を消してくれる。
そして、サニー号への道を帰っていく背中を見送った。
ロビンが去った後ミュールをそっと脱いでみると踝の皮が完全に捲れてヒリヒリと痛む。
せっかくオシャレしてきたのに…。
ロビンにまで迷惑かけちゃって私ったら何やってんだろ。
広場を行き交う楽しそうな人々の表情が更に虚しくなる。
オシャレしようと慣れない靴なんて履くもんじゃないわ。
「はぁ…失敗だったなぁ。」
自然と口を衝いた言葉。
「何が失敗だって?」
それに応答か返ってきた事と背後から肩を掴まれた事に驚き振り返る。