体温
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ふわっ…と頭に優しく何かが触れた気がして名無しさんは目を開ける。
「やだ、私ったら眠って…。」
ベッドに突っ伏していた身体を起こすとゾロと目が合う。
「よォ、やっとお目覚めか。」
そこにはいつもの笑みを湛える彼の顔。
「ゾロ…!もういいの?大丈夫?」
「あァ、お前のくれた薬が効いたみてェだな。こんなの寝てりゃあ治るのに…。」
名無しさんの頭を撫でていた手は彼女の鼻を摘まむ。
「いひゃいよ…ゾロぉ…。」
「あんま心配かけんな。」
涙目になっている名無しさんは鼻先をきゅっと摘まんでいるゾロの手に自分の手を添える。
「ごめん…なさい。」
「分かればいい。」
ゾロの手は離れ、名無しさんの手を握り返した。
「でもね、私もゾロの力になりたかったの。」
ゾロが風邪ひいちゃったのには私にも責任がある。
「私はサンジみたいにお粥一つ上手く作れないし。」
「チョッパーのように病気を治す事も出来ない。」
愛する恋人が病で苦しんでいるのに自分は何も出来ないなんて。
そんな苦しい事無いよ…。
「バァーカ。お前分かってねェなぁ…。」
「わっ、と。」
やれやれと溜め息をついたゾロは名無しさんの手を引くと、彼女の身体を自分の腕の中に閉じ込める。
「それはアイツらの仕事だからお前がやる必要はねェ。」
「でも…。」
「ったく、まだ分かんねェのか。」
彼の手が優しく名無しさんの髪をかきあげて露になった耳に呟く。
「名無しさん、お前は俺のそばにいろ。」
ゾロの体温を身体で感じ。
囁かれた音は私の体温を上げる。
「それがお前にしか出来ない事だろ?」
「で、でも…それならチョッパーにだって…。」
この状況が急に照れ臭くなって反論するが、ゾロは勿論聞く耳持たずで。
「あー、ごちゃごちゃウッセ。」
「きゃ…。」
名無しさんの背中を抱いたままベッドに横になった為、二人は添い寝する形になる。
近すぎるゾロとの距離に胸のドキドキが煩いくらいに脈を打つ。
「俺は名無しさんに居てほしいんだよ。…ここまで言わせんな。」
あれ?
伝わるゾロの鼓動も自分と同じくらいドキドキしていて。
見上げた先にちらりと映る彼の頬は紅く見えたのは。
きっと熱のせいではないはず…。
fin.