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「気にすんな。名無しさんのお陰でこんなに食べ物見付かったんだからよ。」
モグモグと口一杯に果物を頬張り、更に両手で抱えて歩くルフィが笑った。
他にも珍しい薬草が手に入ったと嬉しそうにしていたチョッパーが鼻をヒクつかせて立ち止まる。
「ん?どうしたチョッパー。」
「ゾロの匂いがする。コッチだ…!」
「え!?ちょっと待って!」
ゾロがこんな場所にいるわけないわ。
だって今は医務室のベッドで寝ているはず。
だけど、チョッパーの鼻が間違うわけないし…。
先頭を走るチョッパー。
そして、ドキドキと妙な胸騒ぎを覚えた名無しさんと、その後をサンジとルフィが追う。
「…ゾロ!?」
茂みを掻き分けた先には居るはずの無い倒れている彼の姿。
「すごい熱だ。サンジ、ルフィ急いで船まで運んでくれ。」
「嘘、何で…チョッパー!ゾロ、大丈夫だよね?」
「俺は船医だ。名無しさんの採った薬草もあるし絶対治してみせる。」
サンジ達は倒れていたゾロを担ぎ上げると、サニー号への帰り道を急いだ。
* *
サニー号に戻るとチョッパーは薬草を調合して薬を作り、ゾロに飲ませる。
彼の意識はまだ戻っていなかったが薬の効果が現れれば一安心だ。
チョッパーが扉を開けると名無しさんが医務室の外で処置が終わるのを待っていた。
「…入ってもいい?」
「うん。一応治療は終わったから後は目が覚めるのを待つだけだ。」
名無しさんはチョッパーの目の高さまで屈むと頭を撫でて言う。
「チョッパーありがとう。さすが、頼りになる船医だわ。」
「そ、そんなに誉められたって嬉しくねぇぞコノヤロー!」
ニヤニヤと目尻を下げて笑うチョッパー。
「後は私が着いてるからチョッパーは少し休んで。」
背中を優しく押して部屋へ戻るよう促すと扉を閉める。
名無しさんはベッド脇の椅子に座るとゾロの寝顔を見つめた。
布団の上に放り出されている手を取るとまだ熱い。
「ゾロ…。」
彼が何故あんな所で倒れていたのか。
話は全てナミ達から聞いた。
私のせいで…。
獰猛な動物が居るジャングルの中、発見が遅れればゾロでも危なかったかもしれない。
とにかく無事で良かった。
名無しさんはゾロの手をぎゅっと握り締めて祈る事しか出来ない。
そんな無力な自分が虚しくて、切なくて。
名無しさんは涙を流した。