赤い糸
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ねぇ、知ってる?
左手の小指には
見えない赤い糸が結ばれていて
その先が繋がっている人が運命の人なんだって
私の運命の人は…だぁれ?
甲板の木の下。
ブランコに座っている名無しさんは目を細めて左手の小指を凝視する。
「ん~…?」
しかし、どうやって見てもそこにはただ普通の指が見えるだけで。
がっくりと肩を落とした名無しさんはブランコを漕いだ。
空気を切りながら潮風を感じて乗るブランコは最高に気分がいい。
高く、高く漕いで。
小指の先からどこまで伸びているのか分からない見えない糸を思って遠くを見つめる。
そこへ、階段を下りてきたゾロが通りかかった。
「あ!ゾロ。」
乗っていたブランコから勢いのついたまま飛び降りた名無しさん。
「バカッ!危ね…!」
ゾロ目掛けて飛び降りたところを彼の逞しい腕が支える。
「えへへ。ゾロありがと。」
支えられている体勢でゾロの身体にぎゅっと抱きついた。
ゾロはそんな名無しさんを気にする様子もなく、額を軽く小突く。
「ったく…俺が助けてなかったらどうすんだ。」
「でも助けてくれたでしょ?」
ニッコリと笑う彼女を前にしてゾロは溜め息を溢し苦笑する。
「あァ、違いねェ。」
さっきとはうって変わって優しい手のひらが名無しさんの頭を包み込む。
「で、何やってたんだ?」
二人はそのまま木の下に腰を下ろすと寝転んで空を仰ぐ。
今日は白く薄い雲が青空にヴェールの様にかかっている。
風も穏やかに吹いていて頬を撫でる感触が心地よい。
「ね、ゾロは赤い糸…って知ってる?」
左手を高く掲げて、目線だけを隣のゾロに向けた。
「赤い糸?なんだそれ。ドフラミンゴの糸の事か?」
肘枕をして名無しさんを見るゾロの表情は苦いものに変わる。
ドフラミンゴとの闘いの思い出が彼の表情をそうさせているのだろう。
「ぷっ。あはは!」
想像の斜め上をいく彼の答えに思わず吹き出すと名無しさんは身体をゾロの方に向き直った。
「お前…笑いすぎだろ。」
「ごめんごめん。知らないと思ってたけどまさかドフラミンゴが出てくるとはね…。」
お腹を抱えて笑う名無しさんに自分の答えの恥ずかしさを感じてゾロは頭を掻いた。
「あのね、私の住んでた島には左手の小指に見えない赤い糸が結ばれていて。」
名無しさんはゾロと自分の間に左手を出す。
「その先が繋がっている相手が運命の人なんだって、言い伝えが昔からあるの。」
「へェ…。」
興味なさそうに呟き、目を細めて自分の左手を見るゾロは名無しさんの左手をとる。