止まった時計
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「私だって皆の力になりたいから修業も勉強も頑張ったわ。でも…やっぱり隣にゾロが居なくて寂しかった。」
一緒に居た時間よりも、離れていた時間の方が長くなるなんて…。
私は一日たりともゾロのことを考えない日はなかった。
忘れるわけないじゃない。
その優しい手の温もりも。
真っ直ぐな眼差しも。
全部大好きだったんだから。
「だけど…ゾロがあの子と二年も一緒に居たって知って、正直…嫉妬した。」
「あいつとは何もねェ。」
「うん。分かってる…ゾロは修業を疎かに出来る人なんかじゃないもんね。」
名無しさんは自分に言い聞かせる様に話す。
「分かってるけど…ツラかった。」
そっと、手を伸ばしてゾロの左目に触れる。
「…痛い?」
「いや、大丈夫だ。」
名無しさんの頬を抓っていた手は後頭部に回され、彼女の身体を引き寄せる。
「心配かけて悪かった。」
「うん…。」
懐かしいゾロの温もりは名無しさんの心を落ち着かせる。
「ツラかったのはお前だけじゃねェ。俺がお前の事を忘れるわけねェだろ。」
「あんな状態のまま飛ばされて。最後に見たお前の顔はずっと目に焼き付いていた。」
「ゾロがほんとに死んじゃうって思ったから…でも、こうしてまた会えたから良かった。」
ゾロの広い背中に手を回すと。
以前より逞しくなった体付きが分かる。
「もう絶対離しゃしねェ。大切なモンも守れねぇで最強にはなれないからな。」
「ゾロ…。」
「名無しさん。」
名を呼ばれて上を向くと口角を上げたゾロの表情。
近付く彼の顔に目を閉じれば。
そっと触れるだけの口付け。
それは二年前と変わらず優しいキスだった。
「離れていた二年分お前を感じてェ。もういいって言うまで愛してやるから覚悟しな。」
記憶の中のゾロじゃなくて
本物のゾロに会って、触れて。
止まっていた時間は
再び動き出す。
fin.