止まった時計
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最強を目指すため、鍛練に向かう姿勢と真っ直ぐな瞳は何も変わっていなかった。
その瞳が片目になっていたこと以外は…。
ゾロの目の傷と、シャボンディ諸島でペローナが言っていた言葉が引っ掛かる。
それは胸の高鳴りを、違う痛みに変えた。
「おい、ぼーっとしてどうした?」
いつの間にか鍛練を終えていたゾロが 名無しさんを見下ろしていた。
「あ…。もう鍛練はいいの?」
「ん?あァ。寝るから膝貸せ。」
しゃがんで寝る体勢になるゾロを避けると慌てて立ち上がる。
「ごめ…ロビンに呼ばれてたんだった。また後でね。」
「おい、名無しさん。」
背中に降ってくるゾロの声を聞き流し、知らないフリをして展望台から下りた。
本当はロビンに呼ばれてなんていなかった。
だけど…。
久しぶりにゾロと会った私は彼との接し方を忘れてしまった様だ。
二年間離れていて気付いたゾロとの距離。
それは余りにも長い年月だった。
心の中に渦巻く感情は。
「やだ…私ったら嫉妬、しているの…?」
もやもやと拡がっていく。
二年ぶりにクルーが顔を合わせれば宴が開かれるのは自然な流れで。
お喋りに花を咲かせたり、騒ぐお子様トリオ達を尻目にその中でも浮かない顔をしている名無しさん。
ポンっ。
「!」
「ちょっと外、出れるか?」
肩に置かれた手の先にはゾロが居て。
二人はダイニングから甲板へと出た。
「お前、さっきから変だぜ。調子悪ィんなら寝てろ。」
「ううん。大丈夫、そんな事ないよ。」
余計な心配かけちゃって申し訳なくなる気持ちと、私を気にかけてくれてたんだという少し嬉しい気持ちが混ざる。
「じゃあ何だよその顔は。」
ゾロの手が名無しさんの頬に優しく触れて。
大きくて温かい彼の掌に頬が包まれる。
「な、何って…?」
触れられているところが熱い。
ゾロは名無しさんの頬を少し抓って伸ばす。
「貼り付けたような笑顔しやがって。言いたい事があるならハッキリ言え。」
「う…。」
痛いところを突かれて笑顔の仮面が剥がれだす。
「ずっと二年間ゾロの事ばかり考えてた。無事なのか、何してるのかなって…。」
「…。」