鎮痛剤
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ギシッ…ギシッと縄梯子を登ってくる音がする。
コックの野郎が夜食でも届けに来たと思った。
「ゾロ、起きてる?」
「…名無しさんか?不寝番なンだから寝てるワケねぇだろ。」
下を覗くとバスケットを持った名無しさんの姿。バスケットを受けとり、手を引いて見張り台へと引っ張りあげた。
「あ、ありがとう。サンジに頼まれて夜食持ってきたの。」
ッチ。またクソコックかよ…。
「あァ、ありがとよ。」
「それと…コレ、貸してくれてありがとう。嬉しかった。」
照れたように少しはにかんで腹巻きを渡してきた。
「じゃあ…。用事はそれだけだから…戻るね。ゾロ、おやすみなさい。」
そそくさと俺に背を向けて来た道を戻ろうとする。
オレは、咄嗟に名無しさんの手を掴んだ。
「え?…ゾロ?」
「待てよ。」
「戻るって、あのコックんところか?」
「サンジのとこ?ち、違うよッ。部屋に戻るだけだよ。」
そうか…。
そうだよな。何を考えてんだ俺は。
バカか。
「手、ワリィ。」
「あ、うん。大丈夫…。」
掴んだ手を離してやったのにその場を動こうとしない。
「ゾロ。さっき私、サンジに断ってきた。」
「…そうかよ。」
「だって私が好きなのはゾロだから。」
名無しさんは俯いている。
…泣いてんのか?
この場所からじゃよく見えねェ。
「名無しさん、上手く言えねェが聞いてくれ。」
咄嗟に手を掴んじまったのは、コックの所に戻ると思ったからだ。
何故かアイツの所には行かせたくなかった。
俺の側に居て欲しかった。
昨日お前が好きだって告白してきたワリには、口から出るのはアイツの名前ばかりでムカついたんだ。
ガキみたいだって笑いたきゃ笑えばいい。
「ここに座れよ。」
名無しさんはこくん。と頷くと俺の隣に腰を下ろした。
「ねぇ、それって嫉妬だよね?自惚れてもいいかな。私の事、好き?」
「…あァ。そうかもしれねェ。」
「そうかもしれないじゃなくて、ちゃんと言ってよ…。」
名無しさんの頭に手を置いて、体を引き寄せる。
「ッチ。好きなんだよ、お前の事が!」
きっと今の俺の顔は真っ赤だ。そんな顔を見られたくなかった。
「俺は嘘は言わねェ。お前が、よく知ってるだろ。」
「うん。そうだね…。」
「この俺を惚れさせたんだ。覚悟は出来てるな?」
「ふふ。楽しみにしてる。」
2人で夜空を見上げた。
たくさんの星が輝いている。
いつの間にか名無しさんは俺に寄り掛かって眠ってしまった。
そういやコイツ昨日、不寝番だったな。
そっと頭を撫でてみると、微かに石鹸の香りがする。
もうお前に寂しい思いはさせねェ。
悲しい顔をさせるヤツは皆ブッた切ってやるから。
俺の隣で笑っていればいいんだよ。
「ね、ゾロ。もう1回言って?」
「1回しか言わねえからよく聞いとけよ。」
「うん。」
「名無しさん、好きだ。」
fin.