『あぁ、、ごめん。別に泣かせる
　　つもりはなかったんだ、』

泣き止まない私を見て少し困った表情をする。

　『うちにくるかい？
　　妻もまだ小さい息子もいるんだ。
　　今日はもう夜遅いし､泊まっていきなさい。』

そのまま家に連れていってもらい､久々に
温かいごはんや人の優しさに触れ､また涙が溢れた。

次の日、ここは別荘で日本に滞在している時に泊まる
別荘なのだという。
数日したら韓国に帰国しなければならないらしい。

おじさんと奥さんのご好意で、一緒に行かないかと誘われた。
韓国に移住するため必要な費用やおうちは会社で出してくれるという。

随分至れり尽くせりだな...。

今の家を解約し、本当に必要なものだけを持って渡航した。

一人暮らしの家が決まるまでは、おじさんの家にお世話になり、
休学していた学校も、韓国の学校に転校した。

学校の合間を縫って練習生としてYGに入ってレッスンに励んだが、
このことは他言無用だと、優しかったおじさんもそれだけは
厳しく何度も忠告されていた。

しかし、何故かレッスンするときは、決まって
私1人だけでレッスンをし、そのレッスンの曲も
1グループの曲しかなかった。

たしか、B…なんちゃらかんちゃら。
覚えないけど。

最初は嫌なこと忘れるためだけに、必死で
練習していたが、いつの日からかデビューしたいと
思うようになった。

そして私がレッスンの先生と話している時、

　「あなた､YGの練習生がどのぐらい
　　居るか知ってる？」

　「はい､確か1500人って…」

　「そうよ､その中から一人だけ
　　あるグループの新メンバーとして、
　　デビューする子がいるのよ。」

…そんなにすごい子がいるのか。

関心し、歌もダンスも上手で、愛嬌のある
社交性が高いような人、きっと自分とは
かけ離れているような、スター性のある
何にでも富んだ人間なんだろうと思った。

しかし何を間違ったのかそれが、私。

ただし、デビューするには条件があり
【男になること】だった＿＿＿。