SSS
夢小説設定
この小説の夢小説設定▼牧野夢主
女/17歳/高校生
羽生蛇村在住の高校二年生。薙刀部所属。
明るく活発。
小さい頃から求導師様大好き。
▼三上夢主
女/編集者
三上脩の担当編集兼恋人。
夜見島に行くと言った三上に同行して島へと赴き、共に異変に巻き込まれる。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シーツの波間に揺蕩う気分だった。部屋を満たす甘い空気のせいで、まるで夢の中にいるみたいに頭がフワフワする。
慶さんとの夜は、いつもこうだ。体力には自信があったはずなのに、行為のあとは全然体に力が入らなくなる。気怠くて、でも心地良くて、とろとろと思考が融けていく。
「夕夏ちゃん、お水持ってきたよ」
うっかり寝入ってしまいそうだった私を、慶さんの声が引き戻す。言葉通り、その手にはグラスが一つ。
でも、「有難うございます」と受け取ろうとした私の手は、グラスには届かなかった。
代わりに、慶さんの手が私を捉える。その手はもう一度私をベッドの上に縫い付け、そして開こうとした口には、温かいものが押し付けられた。
口の中を、舌で探られる感覚。同時に、人肌と同じ温度になった水が流れ込んでくる。
いきなりのことに驚いても、押し倒された状態では何も出来ず、私は必死にそれを飲み下すしかなかった。
こくん、と喉が動くたび、慶さんは満足気に目を細めている──ように見えた。
私が全部飲みきったのを確認して、唇は離れた。顎につう、と雫が垂れる。ただの水なのか唾液なのか最早判別出来ないそれを指で拭い、慶さんはにっこりと笑った。
「いい子だね」
ちょっと気弱で、みんなに優しい求導師様。それは全く嘘じゃない。でも、それだけじゃないってことを、触れ合う度に私は実感するようになった。
いつもはきっちりセットされている前髪を下ろし、寝室で私を翻弄するこの人は、男の人だ。それもきっと、ちょっとだけ意地悪な部類の。
「……慶さんって、そういうことしない人だと思ってました」
されるがままなのが悔しくて、何となくそんなことを言ってみる。すると慶さんは、「ふふ」と小さく声を上げて笑った。
「そうだね、私も自分がこんなことする人間だなんて知らなかった。……こんな気持ちになったのは、夕夏ちゃんが初めてだから」
大きな手が、私の頬を撫でる。滑らかで、綺麗で、でも骨ばった感触が分かる、男の人の手のひら。その優しい手付きを感じながら見上げれば、柔和に笑む瞳に見つめられていて。
──胸の真ん中を、撃ち抜かれた。こんなの、ときめくに決まってる。
あなたの色んな顔を引き出せているのが──あなたを「求導師」でなく出来るのが本当に私だけだとしたら、こんなに光栄なこと、他にない。
「こんな私は嫌い?」
頬を染め、絶句する私に投げかけられた問いかけは、やっぱりちょっと意地悪だ。それに、首を大きく横に振って答える。どんな慶さんでも、好きに決まってます!
嬉しいな、と笑う慶さんは、もう一度私の唇を深く塞いだ。