「慶さんは、朝ご飯って食べる派ですか?」
「そうだね、それなりには」
「じ、じゃあ、明日の朝は私が作りますね。実は、最近ちょっと料理練習してるんですよ。お婆ちゃんが、『ちゃんと家事を出来るようになってからじゃないと求導師様のお嫁に出せない』って張り切っちゃって……色々教わってるんです」
「…お嫁に来てくれるんだ」
「あっ!わ、忘れて下さい!お婆ちゃんが何か盛り上がっちゃってるだけで、重いこと言うつもりじゃ、なくて……あっ、そうだ、慶さんは朝ご飯、和食と洋食、どっちがいいですか?卵、目玉焼きか、オムレツか、その…」
「
夕夏ちゃん」
「は、い」
「優しくするから、大事にするから…そんなに怖がらないで」
「…お、お手柔らかに、お願いします…っ」
「朝ご飯を一緒に食べたいのは本当ですよ」と、胸に顔を埋めて君は呟いた。
果たして朝までに解放してあげられるだろうかと、不穏な考えが頭を過ぎる。
焦がれ、求め、ようやく手に入れた愛しい少女。頼まれても手放してやれないだろうと、重いことを考えているのは私の方だ。
震える唇を深く塞ぎ、はじめての夜が幕を開ける。
*****
https://shindanmaker.com/587150