SSS
夢小説設定
この小説の夢小説設定not部長。帰宅部のメンバー。
メビウスでのクラスは2年7組。年齢17歳。実年齢18歳。現実世界でも高校生
メビウス歴は一年くらい
帰宅部に入る以前からホコロビに気付いており、琵琶坂先輩と行動をともにしていたという設定です
(一部の話には男部長が登場します)
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「君は基本的に食事の仕方が綺麗なのに、何でシュークリームだけそうなるんだ?」
「何故なんでしょう……」
右を齧れば左から。左をどうにか処理すれば、次は右から。頬張る端からクリームをこぼし、三緒里君はずっと慌てふためいている。まさかこんな意外なところに弱点が潜んでいるとは思わなかった。
本来であれば食べ方に品性がない女とは同じテーブルにつきたくもないが、彼女のそれは自分でも驚くことに全く不快感がない。むしろ、菓子一つに翻弄されている様は只管に滑稽で無様で、可愛らしいとさえ思う。
そう。気まぐれに少しばかり嬲ってやりたくなる程度には。
「ほら、三緒里君。手伝ってやるよ」
細い手首を掴んで、べったりとクリームに汚れた指先を口に含む。「いや」と小さく声を上げて三緒里君は身を引こうとしたが、即座にもう片方の腕を背に回し、逃げられないよう腰を支えた。そのまま、一本一本丹念に唇を這わせていくと、細い体が小さく跳ねる。「だめ、だめです、琵琶坂さん――汚れてる、のに」という当惑した声は、敢えて聞こえないふりをした。
「……ふむ、味は悪くないな」
有名店の品なのだから、まあ当然だが。ちなみに、今日帰宅途中に買ってきてやった土産である。
「だめって言ったのに……」
じっとりと、三緒里君がこちらを見据える。しかし、そんな朱を刷いた顔で恨みがましい視線を向けられたところで、説得力は一つもない。
「嫌がっているようには見えなかったがね」
再び指先に唇を寄せ、わざと音を立てて口づける。それだけで、長い睫毛に彩られた瞳には仄かに情欲の炎が灯ったように見えた。
「……琵琶坂さんも」
「ん?」
「悪ふざけなんてするから、ついてます」
僕の口の端を、三緒里君の親指が掠める。成程、舐め取った際にクリームが残ってしまったらしい。
「……じゃあ、今度は君が綺麗にしてくれたまえよ」
そう促せば、数瞬恥じらいに視線を彷徨わせたあと、緊張に震える唇がおずおずと僕のそれに重なった。ちゅ、ちゅ、と啄むような焦れったいキスが降り、小さな舌が唇に沿って控えめに動く。然程気持ち良くはないが、拙いなりに一生懸命な表情がこちらの劣情を煽る。重なった部分から、卵と砂糖とバニラの香りが鼻腔いっぱいに満ちていく。
――ああ、甘ったるいなあ。
くく、と喉を鳴らして、不慣れな愛撫を享受する。今攻勢に出たら、彼女はどんな顔をするだろうかと夢想しながら。