雪山にて
耳を擽る馴染んだリズム。
それがミゾレ混じりの雪の中をサクリサクリと軽い足音を規則正しく刻みながら近付いて来る。
雪が降るのに帰らないオレを迎えに来たんだろうと見当はついた。心配しての迎えを止めろと何度言ってもアイツは止めない。
オレは心配される程弱くもない、もう倒れて動けなくなったりしないと何度言っても聞き入れない。
これに対しては仕方がない。オレは少し前まで魔性粒子の影響で発作を起こしては倒れるか蹲って動けなくなっていた。
アイツが心配するのも無理はない。それは分かっているがそれとこれとは別の話だ。
こんな野生動物が当たり前に出る山奥までやってきて流石のアイツでも危なくない筈がない。
それなのに───
「帰ろう、ラクサス。夜になったらもっと冷える」
息も乱さず平気な声音で傘を差し出す。
「危ねぇからここまでくんなって言ったろ」
「俺は平気だ。ラクサス、早く帰ろう。今夜から明日にかけて吹雪になる」
「吹雪?」
そんな予報は出ていなかった筈だ。
「特に山の天気は変わりやすいからな」
ほんの一瞬、目を向けたコイツが、無表情にただ傘を差し出してくる男が、見知らぬ他人に見えた。そんな筈はないのに。
「…分かった。ただ傘はいらねぇ。お前が使え」
言いながらコイツにしっかりと振り返って感じた違和感。
確かにここまで近付いて来る足音は聞こえた。それなのに足跡が…。
「フリード、お前。……どうやってここまで来た?」
それがミゾレ混じりの雪の中をサクリサクリと軽い足音を規則正しく刻みながら近付いて来る。
雪が降るのに帰らないオレを迎えに来たんだろうと見当はついた。心配しての迎えを止めろと何度言ってもアイツは止めない。
オレは心配される程弱くもない、もう倒れて動けなくなったりしないと何度言っても聞き入れない。
これに対しては仕方がない。オレは少し前まで魔性粒子の影響で発作を起こしては倒れるか蹲って動けなくなっていた。
アイツが心配するのも無理はない。それは分かっているがそれとこれとは別の話だ。
こんな野生動物が当たり前に出る山奥までやってきて流石のアイツでも危なくない筈がない。
それなのに───
「帰ろう、ラクサス。夜になったらもっと冷える」
息も乱さず平気な声音で傘を差し出す。
「危ねぇからここまでくんなって言ったろ」
「俺は平気だ。ラクサス、早く帰ろう。今夜から明日にかけて吹雪になる」
「吹雪?」
そんな予報は出ていなかった筈だ。
「特に山の天気は変わりやすいからな」
ほんの一瞬、目を向けたコイツが、無表情にただ傘を差し出してくる男が、見知らぬ他人に見えた。そんな筈はないのに。
「…分かった。ただ傘はいらねぇ。お前が使え」
言いながらコイツにしっかりと振り返って感じた違和感。
確かにここまで近付いて来る足音は聞こえた。それなのに足跡が…。
「フリード、お前。……どうやってここまで来た?」
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