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SS集め

「お前、オレの女になれ。歳の割に胸が少し寂しいがオレがデカくしてやる」
リクエストボードの前でいきなり肩を掴んで来た男に失礼極まりない台詞を投げつけられた。
相手は微かにタバコの匂いを纏った金髪の青年。
「何を言っている?」
少しだけ低く掠れ気味の声を吐き出すと
「言葉のとおりだ。お前、新入りだろ?オレの女になったら良い思いが出来るぞ」
顔を覗き込んでくる青年を嫌悪感いっぱいの目付きで見返す。
『ここは見た目でしか判断しない馬鹿が多いのか』
このギルドに加入して以来、ここまであからさまでなくとも何人かの男に声をかけられて来た。
正直、自分の何が良くて声をかけてくるのか解らない。
一瞬だけ青年の言葉の意味を理解できなかった少年はあからさまな溜息を大きく吐き出して睨み上げる。
「どこを見てそう思ったか知らないが俺は男だ。〈女〉になる事は出来ない」
まだ少年の域を出ない彼の視線は頭ひとつ分以上大きな相手に対して自然と上を向き真っ直ぐに見据える。
「男?」
以外そうな顔をした青年は一瞬だけ目を見開きそしてもう一歩近付いた。
「ふぅん、〈男〉だったか。しかしこのツラで普通の男みたいに女を抱くイメージが浮かばねぇな」
大きな手が少年に向けて伸ばされ、いきなり顎を掴んで上向けられる。
その金髪の青年に対して純粋に腹が立った。
今まで散々他人から投げ付けられて来た言葉を何故ここでこいつに言われなければならないのか、と。
「いっそ、女なら良かったのにな。んな言われ方しないですんだろ?」
自分で言っておきながらーーーそう思った瞬間、相手の声色が変わった。
「オレの好みの顔だからな。余計に惜しい」
え?と、驚いているうちに手が離される。
肩に届く程に伸びた緑の髪を青年の指先が一瞬掠め
「うん、惜しい」
最後は一人言の様に呟いてさっさと背中を向け何処かへ行ってしまった。
「何だったんだ?いったい」
今の青年が誰かぐらいは加入して日の浅いフリードでも知っている。
『ラクサス・ドレアー。マスターの孫』
素行に問題有り。出会っても最低限の付き合いで構わないと初日に教えられた。
『聞いていたのと印象が違う』
気分は悪かった。が、逆に気になる部分もあった。
顔が好みだと言い切った相手に今度会ったら
『顔が好みだと言うなら俺をどうしたいんだ?』
と冗談交じりに聞いてみたくなった。
「今度会った時が楽しみだな」
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