森の奥
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「楽しそうな一人芝居ですね」
ドアの無い洞穴の中であるため、よく通る女性の声はほぼ筒抜けであった。
持っていた鮫肌を置きながら鬼鮫はイタチに目を向けた。
イタチは残り少なくなった水筒の水を飲み干していた。
「小鳥の囀りに良く似ている」
「時に不快ですか。……小鳥ほど可愛ければ良かったんですがね」
コウが立てる音や声に耳を傾けていれば、一人が料理の完成を告げにやってきた。
献立は、
白飯と味噌汁、イノシシの生姜焼きと野草のおひたし。
「いつもベタですんません。
もっとこう芋虫とか真っ赤な汁とか面白いもん出せればよかったんですけど」
「やめてください」
「食事に面白みは求めていない」
味は、可もなく不可もなく。
二人分の食事を置き、さっと出ていったコウといえば、兵糧丸で既に食事を済ませている。
調理器具の始末をしながら、彼らが食事する様を金の瞳で観察していた。
人と時代の流れを察し、巧みに溶け込むすべを磨いてきた対之一族。
その次期里長として、より厳しい教育を受けたコウの瞳は特に、心や身体の具合を現すチャクラの動きを感じ取る。
膨大なパターンを記憶し、他人の疲労感や空腹度合いなど手に取るように把握できる。
彼らはなかなかお疲れのご様子。
調整は容易だが、しかし常に絶妙であることの気味悪さもまた承知済み。
わざと外す。
「次の分身補充いつだっけ(たまんねえ)」
「明後日だってさ(たまんねえなおい)」
「手動かせボケ共ー(食ってる姿たまらん)」
今回はおひつの中身を多めにしたが、それでも残さずに食ってくれる様子はいじらしく、これだから食事の用意はやめられなかった。
監視されているとは知らず、否、
彼女の能力を承知しているのだからいつ見られていてもおかしくないことは知っているイタチと鬼鮫であるが、それは良しとしていた。
今更恥じらうことも、見られて困るものを持ち込んでもいない。
食後に回収した食器は、わざと米を多くしたにも関わらず全て空。
いじらしさと喜びに数人のコウはハイタッチを決めて片付けを済ませた。
ちょうどすることがなくなったその時、外の影分身の一体が自主的に消え、全ての分身に情報を届けた。
その情報から、コウの一人がイタチと鬼鮫の居る客間に顔を覗かせた。
「おや?」
「どうした」
「やー、なんか外で変なの捕まえてるんですけど、滝隠れから追手とか連れてきてたりします?心当たり無いなら殺しますけど……」
「数は?」
「野郎が片手の指の数ほど。全部滝隠れの額当てしてましたね」
イタチは鬼鮫に視線を送った。
それを受けた鬼鮫は暁の装束を纏い、立て掛けていた鮫肌を担いだ。
「心当たりがあります。連れて行ってください」
「うす。いっすよ」
鬼鮫のみを連れて一人が外に向かう姿を見て、他の分身もまた何事もなく睡眠、座学、清掃、ささやかな修行などとそれぞれの役割を続行していた。
この隠れ家に本体は居ない。
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7ページ…focus洞窟外