□13 鵺騒動終了まで[7p]
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落ちるような空間を渡り、気が付けばみな現実世界の土を踏んでいた。
「ボルト!」
「良かった!」
シカダイやデンキ達の声が上がる。
原作通りの合流というわけだ。
ハオリは、ため息を吐いて肩を回していた。
「本当に連れてきてた…!」
「ありがとうございます、ええと…通りすがりのお姉さん!」
「気にしないで」
シカダイもデンキもいのじんも、この落ちてきた面子に対する動揺はなくハオリに礼を言った。
ということはだ、あらかじめ彼女が接触しいいように虚言を飾ったのだろうと想像はついた。
そんなハオリはいのじんとデンキに投げられた言葉にそう返して手をヒラつかせると、今度は私の方に顔を向けた。
――『楽しかった?』
そして目の合った私に向けて口パクした。
しかし私がリアクションを返す前に彼女は『まァ見ればわかるわ』と口を動かして肩をすくめた。
一瞬だが瞳術を使った彼女は、私の感情を見たらしい。
そうして彼女が腰に手を当てたそのとき。
瞬き一つの間に里の忍達が到着した。
その中にはサイの姿も。
「愚鈍ね」
ハオリは鼻で笑うように呟いた。
なんでそんなヘイト集めるような真似するんやこの人は。
前の世界での私か?
「子供達に何をした」
案の定、眼差しを鋭くしたサイがハオリを問い詰めたし。
手練れ数人分の殺気すら受けても、ハオリは余裕綽々にニヤついて肩をすくめるだけだったのだが。
「なぜ未だ敵対心を顕わにするのかしら。務めは果たしているでしょう?」
「質問に答えろ」
「何もしてないわよ。悪いことは何もね。それとも私がさらったとでも?」
「そう思われてもおかしくない状況だ」
「ねえ父さん、どういうこと?」
この空気に戸惑っていたみんなを代表してか、いのじんがその会話に入っていった。
「その人は何者なの?」
「……名はハオリ。先日あった火影襲撃事件の犯人だ」
「え!?」
「なんだって…?」
「オヤジを襲ったっていうのか?!」
「悪気はなかったのよ」ハオリは気怠そうに爪を見始めていた「だから自首しに戻ったし話し合いで決めた償いの役目もきちんと果たしているじゃない」
「信用できると思っているのかい?」
「9.5:0.5くらいかしらね。あなたは前者ね。ありふれたつまらない方」
「何の比率だ」
「もちろん、私の悪気の無さを信じるか否かな人たちのことだけど?」
そんなところでサイは一呼吸おいて首を振った。
「脱線したね。らちが明かない」
「迷子になっていた彼らの道案内をしたわ。けど、そんな真実じゃ都合が悪いというのなら、どうぞ私を悪者にしてくれればいい」
急に爪から視線を上げて吐き出されたハオリの返答に、サイは眉間の皺を深めた。
「なぜそれを最初から言えないんだ?」
「むしろなんで最初にそれを察せないのかしらね、これだから他の一族は」
「挑発的な言葉をどうも。いっそ、遠慮なくあることないこと報告されて木ノ葉を敵に回すことになっても構わなそうだね」
「ええ。別に構わないわよ。交渉によって得た期間は正直一日程度で充分だったし。どちらにせよ私はたいして損しないもの」
「あのそれハオリさんと関わってるとこ火影さんに見られてた私とマギレくんは損すると思うんですが」
「ちゃんと連れ去ってあげるわよ。あなたの兄は弱いし、あなたのお義父さんは里から出ない。その分身程度ならいっそ予行練習にぴったりだわ。あら、存外悪くないかも」
なんか言い出したぞこの人。
てか私の兄が弱いって正気か。……正気だろうなぁ。
会話に入るために踏み出している私の後ろでは、「なんだか怖い」だの「ボク達に声をかけてきた時は普通に優しい感じだったのに」だの聞こえてくる。
サイはゴホンと咳払いをしながらハオリの対応をあきらめたのか、スミレちゃんに近づいていた。
悪いようにはしないと。
力になれるだろうかと。
この騒動の大要は、一人の国家反逆ではなく、過去の亡霊が起こした事件としていることを。
ハオリはそれをみなまで見届けず、私の肩をポンと叩いた時には姿を消していた。
周りに居たサイの部下はうろたえたが、サイが「放っておけ」と言ってそれを宥めた。
サイに連れられスミレちゃんが背を向ける。
その手に未だ宿る、鵺との契約の糸。
その存在をボルトが指摘すれば、スミレちゃんがやっとそれを自覚した。
心強くなれた音。
きっと大団円。
正解のシナリオ。
スミレちゃんと何があったか。
ハオリと何があったか。
事情説明を求め合う子供達の声はいったん打ち切られる。
朝日は昇り、一番雷車が走る。
無断外泊。
彼らには当然ながら、その身を心配してくれる家族がいる。
ミツキは例外だがとにもかく。
顔を青くして、それに怯え始めた彼らはとりあえず雷車に飛び乗るべく走り始める。
「おい!號!マギレ!なにぼさっとしてるんだってばさ!」
「いや無賃乗車はちょっと」
「だそうなのでボクたちは徒歩で帰ります!またあとで学校でー!」
マギレくんは別に乗って行ってもええんやで?
私は予め兄さんに外泊の旨伝えてるからノンビリしているのであるからして。