□12 牛頭天王破壊まで[7p]
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ハオリの話では、ここでスミレは折れる、と言っていたが。
耳塞いで声荒げとるやないかい。
「今更そんなこと言われたって!私はもう引き返せないのよ!
途中で降りたら、一人にしてしまう!彼女だって私と同じくらい……頑張ってるのに!」
ええ…私かよ…。
マギレ君と同じパティーンかよ。
互いに父のために頑張ってる私との共通点を切りたくないとか自分だけそこから降りて楽になったなと幻滅されたくないとかそういうヤツか。
「それに!今更私に戻る場所なんかないわ!
そうでしょ?マギレくん…!!」
おお?
「スミレさん…?」
「私が憎いでしょ?あなたを思わせぶりな笑顔で騙して、チャクラを吸い取った犯罪者の私が……!」
話を振られたマギレ君はとっさに反応できなかったようだが、
スミレちゃんの次の言葉を聞きざま理解し、すぐに情けない顔を仕舞った。
「そんなふうに、思っていたんですか?」
おーおーオロオロしていたのが嘘のよう。
意味無く持ち上げていた両腕をおろし、あがっていた重心を据えて、曲がっていた背筋を伸ばしていた。
「ボクを含めた被害者は残らずあなたを憎んでいると…、
そして根の…お父さんの時のように、スミレさんもまた里から迫害されるに決まってる…と思っているんですか?」
「……ええ。そうよ、わかってるなら…」
「ええ。スミレさんがわかっていないことがわかりました」
「…わかってない……?」
「少なくともボクは、スミレさんに対して怒ってなんかいません」
「そんなに私を止めたいのね。まあ、そうよね。
でもお生憎様…そんなデタラメ信じられるとでも?」
「どうしてそう思うんですか?」
「決まっているじゃない。私はあなたを騙した!
あの時声を掛けたのだって、善意なんかじゃない。マギレくんの純情を弄んで、チャクラを奪うためだけに近付いたのだから…!」
おー、スミレちゃんやっと聞いたな。
面白い答えが返ってくるよっつったのに聞かねーんだもん。
さあぶちかましてくれ、ハオリ特製思考人格根本改造型マギレ君!
「それでも、俯くボクに優しく手を差しのべてくれたことは事実じゃないですか」
「だからそれは!」
「騙されたっていいんですよ。
例え嘘の笑顔だろうと、ボクがそれに救われたことに、変わりはありません」
「でも、その後あなたを暴走させ、恐ろしい考えに陥らせたのは私…!
泣くほど自分を責めさせて、後悔させたのは他でもない私…!!」
ムキになるスミレちゃんに、
しかしマギレは涙を見せた時を思い出したのか、恥ずかしようにはにかんで頬をかいていた。
「そのおかげで、忍術科に転科するきっかけができました。
普通科に居た頃はずっと一人ぼっちだったボクだけど、忍術科に来てから、友達ができました。
だから、ボクは感謝しています。今のボクがあるのは、スミレさんのおかげだから」
「友達…?友達ですって?
よくもそんなおめでたい考えを持てたものね!
女の子に騙されてばかりの、可哀想なマギレくん。」
「……どういうことですか?」
「私知ってるよ、マギレ君が號ちゃんの頼みを聞いてることも、
いつも一緒で仲良しに見える號ちゃんだって!マギレくんをただ利用するためだけに近付いたんだってことも!」
「號の頼み…?」
「ど、どういうことだってばさ、委員長」
さっきまでの中心人物が唐突に蚊帳の外になっててうける。
そして完全に自分を憎ませようとムキになってるスミレちゃん。
『自分のおかげでできた友達にもあなたは騙されてる。自分のせいで騙されることになったと罵りなさい』ってとこか。
しかしそんな攻撃効かぬよ。
マギレ君は「ああ」と微笑んで、変わらない温度のまま口を開いた。
「構いません。
利用されたって良いんです。役に立てることがあるのが、嬉しいから」
「なんですって…?!號ちゃんは…彼女はあなたの能力だけが目当てで……仲良しのふりをして、いいように利用して……さ…最後にはマギレくんを裏切って捨てるかもしれないのに!!」
「裏切られたって構わないんですよ」
「ッ!?」
「號さんがボクに隠し事をしていることくらい知ってます。
でもそんなことボクには関係無い。」
「支離滅裂よ!関係無いことないじゃない!」
「きっと何度裏切られたって、もし痛くて悲しい思いをしたとしても、後悔だけは絶対にしません。
完全な善意でなければ信じられないなんて、悲しいじゃないですか」
「え…!?」
「裏側の真実がどうであろうとどうでもいいんです。
ボクは今、役に立てることが嬉しいから手伝うんです。
ボクがボクのために。號さんを信じたいと思うから信じるんです。」
「……なんで、騙されてるって知っていて……マギレくんはなんで、そこまで……」
「號さんにはボクが必要で、ボクにはボクを必要とする號さんが必要なんです。
號さんがボクを欺いていたら、嘘を暴かないといけないんですか?だれも望んでなんていないのに?
それを決めるのは、ボク自身の問題です。
たとえ捨てられようと、手伝った経験は間違いなくボクの糧になっているし……それはボクの宝物です。
まあ、もし殺されるとなったら流石に傷付きはしますが、それは確定された未来ではありませんよね。
だから言います。
スミレさんのおかげで號さんと出会えて、今の関係に至れました。
ありがとうございます」
「……!!
どうしてそうなるの…、そんなのありえない……おかしい……おかしいよマギレくん……!」
「それもボクが決めることです。
ボクがスミレさんに言いたいのは、
ボクみたいに鵺が憑りついたことで、良い転機を迎えて、むしろ感謝したいって思う人もきっと少なからずいるという事です。
だから、大丈夫ですよ」
「……それでも、無理よ…私だけ諦めるなんて!私の後ろには號ちゃんが」
あー面白かった。
「それで私はいつまで避難してればいいのよミッキー」
「ミツキだけど。
なに、ボクの合図を待ってたの?鵺が止まった時点でいつ来ても良かったのに」
「號!?なっいつの間に!」
「號さん」
「號ちゃん!?どうしてここに!」
ミツキの傍らで術を解き姿を現せば、案の定注目が集まった。
そしてスミレちゃんにとっては私ここに完全に居ない事になってたしこれまた驚いてる。