□12 牛頭天王破壊まで[7p]
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「スミレさんが犯人だったなんて……」
「さっきはミツキくんから守ってくれてどうもありがとう。毎日お見舞いに来てくれたマギレくん。
おかげであの時間帯だけは、動きにくくてしょうがなかったわ」
「……」
反射のように跳躍したマギレ君を先頭にして、切株に三人が着地する。
スミレちゃんは鵺を殺させまいと、今度は逃げない。
「委員長、一応聞いておくけど。
大人しく着いてきてくれる……なんてことありえないよね」
そしてかけられたミツキの言葉を肯定するように、スミレちゃんは半歩構えた。
それを見てミツキも構えようとするが、それをボルトが手で制したおかげて踏み留まりはした。
「なあ委員長。……戻ろうぜ、」
「よくまだそんな呑気なこと言えるわね。」
ボルトの言葉が耳に痛いのだろう。
スミレちゃんは眉間に皺を刻んで遮った。
「私はそこに居るマギレ君の、そして罪の無い人達の心を弄び……木ノ葉の里を襲った。
これは戦争よ!私にとって!」
は?
……大人げなくちょっとカチンと来てしまった。
戦争つったか。
ハハ、これが戦争か。軽々しくそのおぞましい単語を使ってくれたもんだ。
片腹痛い。子供の言うこととはいえ 吐き気がしてきた。
……おや。
意外にもマギレ君。
世間知らずの平和論を耳にした軍人のように眉間に皺を寄せていた。
え。戦争知ってんの?
そういえば一度休みの日にハオリがマギレを見聞を広げると称してどっか連れてってたな。その明けに昼飯抜いてボルトにハンバーガー差し出されてたけど、肉が今見るだけでも無理とか言って断ってたっけ。
ああそういうことか。今どうでもいい疑問が解消されたわ。
「私は物心ついた時から、ずっと隠れて暮らしてきた…!ずっと息をひそめていた…!!
唯一の安らぎは、母に髪を結ってもらう事……、」
マギレが口をつぐんでいるうちに、ボルトが話を進めている。
スミレちゃんはまるで自分の存在を再確認するように、言い訳がましく身の上話をし始めた。
「その母も心労から病に伏し、じきに亡くなり……憎しみを募らせた父親は、里への復讐の為…私をその道具として育てた…!」
うーむ。心から自分の意志でやってるならそんな言い方すんなよ。
父のためにやってるなら父を悪い人間のように愛も敬意も込めずに吐き捨てるなよ。
そんなふうに語るなよ。
復讐のため父と共に修行に明け暮れたとか共に準備して来たとか言え。
「私はもう…母の声さえ思い出せない…ッ!!」
意義の理由を父ちゃんになすりつけてる時点でお察しだよもう。
「私は…父親の恨みを晴らすために育てられた、兵器!」
誇らしげに言えや。
それができないならやめちまえ。
その言葉選びであくまでも自分の意志と主張するなら、自分が兵器や道具であることを誇ってるはずだろ。
父ちゃんだって君に無力感を感じさせないためにやったかも……いいや、役に立たないもしもの模索に意味はない。よそう。
ああだめだな大人げない。
いち日本人として戦争の凄惨さを軽んじる人には嫌悪感を覚えてしまうんだ許しておくれ。
再開したミツキとスミレちゃんの戦闘を見下ろす。
マギレ君も私と同意見みたいだな。でも言葉が見つかってないようで、何か言いたげにオロオロキョロキョロ……
「ボクは、どう…、…號さん……!」
助け船を求めるように私を探し始めよった。オイオイかわいいな。
近付いてやるか。
戦う二人の足音に紛れて私も切株の上に着地した。
隠れ蓑の術は解いてないが、ミツキは気付いてるな。意識がこっちにも来ている。
まだ牽制は来ないけど、関わるような雰囲気出したら来るだろうな。
ていうかナメプすげーな。
ボルトが関わるのを期待してるように見えちゃうくらい。
「大事なのは背中の牛頭天王。君は死体でも構わない」
そうこうしているうちに。
「やめろォーーッ!!」
クナイを掲げて、ぶつかり合わんとする二人の間に、原作通りボルトが乱入した。
勢いのまま三人が衝突し、反動で向かい合う二人は跳ね返り、ボルトは跳ね飛ばされた。
「……!」
「ボルト!」
スミレちゃんが慌てて自分の手の中を確認した。
握っていたクナイは、ボルトの肩に突き刺さっていた。
「やめろって…言ってんだろ……!」
マギレ君も目の前の騒動に目を見開いて、動きを止めているね。
そしてミツキも。
「同じクラスの仲間に…何してんだよ…!!」
話も通じない、肩も刺された。
しかし、まだ委員長を仲間と言い張るボルトの物言いに、やんわり諭していたミツキもついにはっきりと声を上げた。
『スミレは情報収集のために委員長として皆を騙していただけで、仲間ではない』と。
しかしボルトは、『俺は』そうは思えない、と。
自分が実際に目にしてきた日々、実体験、自分の視界に映る委員長は、行いは、表情は、本物だと。
真っ直ぐスミレちゃんの目を見据えて述べた。
「それだけが…委員長を信じる理由だって言うの?」
「そうだ!なんたってクラスメイトだからな!」
理解できない。
しかしそれに不快感を覚えなかった様子のミツキはきょとんとした顔で首を傾けた。
あーその顔爬虫類みたいでかわいいーと思っていれば、ミツキはどこか心地よさげに笑みを浮かべ始めた。
ボルトはいつも、自分の発想の外。決して辿り着かない、答えを平然と出してしまうと。
「根拠もないのに、人を信じるなんて馬鹿みたいだよね」
「何だよ?」
太陽の光を反射して輝く月光のように、ミツキはボルト(太陽)の主張(光)に乗っかった。
「でも、ボクが病院に探りに行ったとき、委員長は『こんなこと早く終わって欲しい』って言ってた……。
あれは本心な気がしたよ」
太陽の光の反射が月の光。
ボルトの主張に影響を受けた、ミツキの主張。が、これか。
……嬉しそうだな。
「やめて!聞きたくない!聞きたくない!!」
でもスミレちゃんは嬉しそうじゃないな。