□12 牛頭天王破壊まで[7p]
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上に落ちる変態。
体現できたー!
渡りのホールは存外心地よかったし。
たーのしー!
それはそれとして。
抱えたマギレ君を仰向けに置いて、鳩尾をグッと押す。
「うっ…」
「おはよう」
意識の戻ったマギレ君の上体をゆっくり起こせば、マギレ君は目の運動だけで辺りを見回した。
おっと置いていた巨大なしめ縄から落ちそうになって支えた。
「ここは…? そうだ、スミレさんは!?」
「スミレちゃんはまだ無傷で生きてるよ。
ここはー…、あの爆弾の世界かな」
「! やっぱりあれは…駮と同じようなものだったんだ」
葉を付けていない灰青色の樹木が乱立し、幹や枝や根が複雑に絡み合う密林。
青白く差す光に温かみはなく、地面や根の下には幾何学的な岩が所々埋もれていたりもしている。
そんな鵺の世界です。
あの後予定通りボルトが乱入し、いろいろあって鵺の世界にダイソンされました。
スミレちゃんお花の髪飾り落としてたから拾って皮膚に封印(収納)してきた。以前これ母の形見だって言ってたし。
そんなことしていたらマギレ君がゴミのように吸われて行くから面白かった。
けど、普通に危ないからチャクラでしっかり捕まえて一緒にダイソンされてみた。
来るなり落ちるから捕まえててよかったよ。
あのまま受け身取れず落ちて当たり所悪けりゃ死ぬわ。
「――で、上空に出現した時空の歪みに巻き込まれてこの世界に落ちて来たってこと。頭から落ちてたしあのまま地面直行してたら危なかったね。」
「……着地……ありがとう、ございます。」
「どういたしまして。
それから、爆弾の名前は鵺だってさ」
「鵺…」
てことを伝えた。
マギレ君は俯いて何やら考えこんでいる。
そんなところで、
私の背後に着地して来た人物を視界に入れたとたんにクナイを取り出そうとするもんだから、
その手をパシッと押さえつけた。
「やあ」
「よおミツキ。元気そうで何より」
「君達もね」
着地してわずかに揺れた縄の振動を感じる。
背を向けたまま言葉を投げれば、普通に返してくれた。
私が居ることに対する驚きがこれっぽっちもない。つまり、やっぱり
「さっき目が合ったね。」
「そうだね。」
「伏せてくれてありがとう」
「ちゃんと飼い犬の責任を取ってたからね。」
「ぶww」
飼い犬て。
マギレ君 意味わかってないから良かったけど。
「なんで君達が居たのかはわからないけど」
「対之の陰謀だよ」
「それなら聞かないでおくよ」
「……號さん、放してください。こいつはスミレさんを…!」
「まあ落ち着きなって。
そもそもマギレ君の答えは定まったの?心の整理は?さっきスミレちゃんの目的は伝えたけど、手伝うことにするの?」
「それは…」
「この里の人たちをたくさん殺しつくすのを手伝うと決めたというなら、それがキミの選択だからまずはこの手を離してあげる。
その後で改めてキミに対処するけど」
「……いえ。」
敵対するとは言ってないがそういうニュアンスで言えば戦意を喪失してくれた。
まあ私ひいてはハオリとの敵対は嫌だろうな。それこそ命の危機だし。そうだろうとも。
ゆっくり手を離せば、大人しくクナイを仕舞ってくれた。
それを確認してから振り返れば、ミツキは下方にある青白く巨大な切株に目を向けていた。
ああ、巨大な切株の中に潜んでるんだっけ。
「……君達が何をしているのかは聞かないけど、
ボクの邪魔をするというなら、ボクは君達をここから突き落とさなければならないんだよね」
「それは今後の展開によるかな」
「どういうこと?」
「私はマギレ君の答えを見届けてから判断するんで。」
「それまでは邪魔しないってことでいいのかな?」
「さっき証明したと思うけど」
さっきスミレちゃんが逃げてたらこの世界にはいないだろ、
という意味を込めて足元の縄を爪先でトントンと叩いて見せればミツキは頷いた。
「そうだったね。
ところで、ボルト知らない?探してるんだけど」
「え?あー、」
もうすぐこの辺来るんじゃない、と言い終わるか否か。
下方から小さな足音がした。
共に音の方向に顔を向ければ…囲うようにひらけた林の一角。
切株のすぐ近く辺りにボルトが姿を現したのを見つけた。
「噂をすれば…」
「影が差す、かな」
そして飛び入ってきた獲物を摂取せんと鵺が切株から飛び出した。
「襲われてっけど」
「そうだね。危なかったら助けようと思うよ」
「ならいいや。見殺しにするかと思ったわ」
「ボルトを?それはまだありえないよ」
「ハハハ、そうかそうか」
「君はいいの?終わった後も委員長とは友達でいるって言ってたけど、ボクが殺しちゃうかも」
「私の答えによって君の心境は変わる?」
「……」
「すまんすまん。でも忍や忍を志す子が他人の生存を願ったとして、それが叶わない覚悟も当然しているものだと思うよ。私はね。」
「なるほどね」
そうこうしているうちに、ボルトが根の塊に追い詰められ、
離脱しようともしないボルトの様子に、ミツキが腕を伸ばした。
「どうしたの?ぼーっとして。」
両肩を掴まれ上がってきたボルトにミツキが聞いた。
「ミツキ…!それに、マギレも!無事だったのか…!
さっき倒れてたけど、一緒に来ちまったのか…もう大丈夫なのか?」
そして私はその視界に入る前に姿を消して飛び去った。
手伝う気は無いんだわこれが。
「大したことない…です。號さんのおかげで…
え、あ、あれ?!號さん?!」
突然消えてすまんマギレ君。
「號…?號も来てるのか!?
そうなのかミツキ?!」
「うん。彼女ここに居たんだけどね、ボクの指示だよ。
鵺の獲物であるボルトを引き上げるから、鵺の注意がこちらに向く前に避難してってね」
「あっ、そういうことか。」
「え…」
「こっそり伝えたから、マギレには聞こえてなかったんだね」
「……そう」
ミツキが何故か私が消えた言い訳してくれた。
え、やさしい。なんで?
別に焦ってくれてよかったのに。
でもちんたらしてねえでさっさと移動しろ。
まあいいけど。
影分身に隠れ蓑の術使わせながら鵺チクチクして気を引いてるから。
会話聞きたいし。
「それよりボルト、仇だとか言っていたけど、
委員長が死んでいるわけないじゃないか。あれは、委員長の命令で動いているんだから」
「てことは…」
「無傷ですよ」
「無傷?どうしてわかるの?」
「ボク達という選択肢がある限り、主人を傷つけたりする義理がない…と、思います」
「鵺が委員長をどう思ってるかについてはわからないじゃないか」
「何でもいい!とにかく、委員長はまだ無事なんだな…!?」
よし。傍らの影分身を消す。
これが下で動く影分身への合図。
鵺にあえて一部分だけ姿を見せつつボルト達の縄へ向けて跳躍するのを目視させてから、着地前に再度完全に姿を消し、静かに消えた。
そうすれば鵺の意識は再び彼らに移った。
「まだ委員長をかばうつもりなの?」
「なっ!」
「お前こそ、まだ委員長を――!」
ミツキは鵺の挙動に気が付き、噛みつこうとする二人を手で制した。
「まずはこいつを、どうにかしないとね」
「はっ…!」
鵺が地を蹴り、爪を伸ばして飛び掛かった。