□12 牛頭天王破壊まで[7p]
ドリーム設定
□登場人物名(25文字)□このブックはドリーム機能を使用しています。
名前を入れると、登場人物に自動変換します。
より楽しく読むために名前を記入して下さい。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
さて、さて。
近くで肉体強化身のみの組手をしていれば、あっという間に日が暮れた。
隆起した地面の上で、二人並んで隠れ蓑の術を使用して佇んでいれば。
地響きとともに千手公園に巨大な獣が出現するのが見えた。
「あれは…!?」
「ん、言ってた爆弾。
すぐに離脱して向かってくるはずだから、犯人そろそろ来るよ」
「…はい」
駮と同じような存在なのか?
などと考えているマギレ君の横で腕を組み、『待ち』の姿勢に入ってチャクラを感知モードにする。
鵺がワイヤーを巻かれたり結界で包まれている様子を見ていれば、
ほどなくして。
待ちかねた人物が崖下より駆け上がってきた。
その姿を目にした隣からは、予想通り息をのむ音。
「あ、あれは、…あれは、スミレ…さん? ……どうして?」
ほぼ息のみで声を乗せずに呟くマギレ君を横目に、鵺を見下ろすスミレちゃんを見下げた。
気付かれてはいない。
動揺して気配揺らいでるけど、スミレちゃんは鵺に夢中でこちらに気が付かないご様子。
マギレ君も何かアクションするかと思ったが…磔られたように動かない。
うーん。
もうしばらく様子を見ていれば、ミツキが追いついてきた。
這うように姿勢を低く、蛇の如し瞬発力をもって私達の眼前を通過し、スミレちゃんの元へ跳びかかっていった。
通過するとき一瞬目が合ったな。バレテーラ。
スミレちゃんがそれに対応し、ミツキは距離を取って着地した。
「やればできるんだね。委員長」
「『はわ』……。
そんなことないよ。ミツキくん」
とっさにマギレ君がクナイを振り上げていたが、その手の中にとどまっている。
スミレちゃんが迎撃してなかったらマギレ君が出ていただろう。
まだ混乱しているようだが。
向き合うスミレちゃんとミツキが交わしている言葉に耳を傾けている。
どういうことなのかと聞きたがっているようだ。
しかし。
「私、キミに殺されちゃうのかな?」
「そうだね。命令だか――」
肯定の声を聞いたとたん、出てしまった。
ミツキが斜め背後からのクナイをひょいと避け、それが崖下の森の方へ落ちていき。
姿を消したままのマギレ君がスミレちゃんの横に着地した。
「なに…!?」
「へえ、出てきてよかったの?君。」
「これは…隠れ蓑の術?いったい誰――!?」
マギレ君は各々掛けられた言葉に反応はせず、着地したままの姿勢から、ミツキに向けて飛び出した。
ミツキは当然、涼しく対応しようとしたが。
だが、
その拳を両腕ガードで受け止めた途端――その重さにだろう――眉ををひそめて距離を取った。
当然のようにマギレ君は無機的にそれを追う。
見れば、ミツキの足があった場所が数センチほどのクレーターになっている。
おおこわ。
そんなところでスミレちゃんが逃げだそうとしていたから、私は金縛りの術を使用した。
「く…ッ!?」
おー。慌ててる慌ててる。
男子組の組手を見ると、ミツキは体術のみで対応していた。まあ雷遁も風遁も目立つもんな。
隠れ蓑の術を使用した、見えない相手からの休みない拳と蹴り、たまにクナイが押し寄せる。
しかしミツキは鋭い感性と経験でもって全てのそれを避け、受け流していた。
十秒ほど打ち合い、そして初めて脇腹に蹴りを受けたミツキ。
しかし動揺はなく、蹴り抜いた瞬間を狙いすましたミツキの伸びやかな腕が、透明なマギレ君の首に巻きついた。
蹴りに吹き飛んだミツキ、それに引っ張られるマギレ君。
自ら繰り出した重い回転蹴りの勢いに引っ張られ、マギレ君の首が思い切り締まった。
腕はマフラーの上から巻き付いてたけど、そんなん関係なく思いきり衝撃いったなあ…。
マギレ君の本気の蹴りこえぇー。
そして吹き飛ばされ脇腹をかばいながら地面を転がって衝撃を打ち消し着地したミツキ。
首から地面に叩きつけられたマギレ君。
その間もその首を放すことなく、しっかりと締めつけ続けているミツキもこえぇー。
あ。
オチたな。
隠れ蓑の術が解けてマギレ君の姿がその場に晒された。
その姿を見て今度はスミレちゃんが息をのんだ。
「マギレ君…!?」
あーあーマギレ君たら白目向いとる。無茶しやがって。
ミツキはそれを確認すると、スルスルと腕を引っこめた。
蹴られた脇腹は…既に治癒したご様子。
「邪魔が入ったね」
「…! 金縛りが解けた…」
解いたで。
「ミツキくんは器用だね……金縛りの術を使いながら戦えるだなんて。
でも残念……縛るのはもう限界みたいだね?」
「さあ?
それよりも、多少邪魔が入ったところで、ボクの任務に変更はないよ」
あれ、私に気付いてんのに伏せてくれたのか。
別に今出て行っても良かったけど。
「……その過激な任務とやら。
七代目の判断とは思えないわね。誰の命令で動いているの?」
「そんなこと、どうでもいいよね」
気を取り直してミツキはその腕を伸ばした。
頭上から襲いかかるように見せかけて、意識の逸れた軸足を取る。
うつ伏せに倒し首から頭部にかけて押さえれば、ミツキを持ち上げるほどの力がない限り起き上がることは出来ないだろう。
マギレ君とは違い、スミレちゃんは数秒で拘束された。
その真っ直ぐな意識と表情のあどけなさから、対人経験の乏しさが伺い知れた。
力だけ持て余すド素人やってた前の世界の自分のようで、親近感を覚えた。