□10 職場体験終了まで[10p]
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ボルトがサラダに連れてかれた。
したらせっかくのタイミングだし私もマギレ君を連れ出して軽くなだめるかー。
「先生、鉛製品加工工場グループお先に帰宅します。この度の無断早退、誠に申し訳ありませんでした。明日からは平常通り定時刻で退勤いたします」
「え。ああ…了解した」
退室前挨拶を済ませ、マギレ君の細腕をグッと掴んだ。
そのまま引っ張れば、逆らうことなく力に従って引っ張られてくれた。
「ほらお前も行くぞ」
「え?でも、ち、ちょっと…」
「委員長が心配なのはわかるけど、ほっといたらずっとここに居るでしょ」
「それは……」
「かぐや君も突っ立ってないで帰…おお、もう着いてきてたか
じゃ 先生さよーならー」
「あ、ああ。さようなら…」
そして数人のクラスメートとも別れの挨拶を交わし、病室を出た。
廊下を少し歩く。
マギレ君は大人しく手を引かれつつも、スミレちゃんの病室の方向を何度も振り返りソワついていた。
わかったわかった。
廊下を少し歩いたところにある休憩用の長椅子の前で足を止めた。
「よし。マギレ君ステイ」
「え?」
「委員長が心配なのはよくわかったからちょっと座ろうか」
「帰るんじゃ無かったのか?」
「いや今のままだとマギレ君まっすぐ帰らなそうだから。
用事とかあるならかぐや君先に帰ってていいけど」
「無い」
マギレ君の腕を掴んだまま率先して椅子に腰かければ、かぐや君も続いて座った。
一人だけ立たされた状態になって観念したのか、最後にマギレ君も座った。
「マギレェ。なんかまた四六時中一緒にとか考えてるだろ?」
「……」
つないでいた手を離し、その細くて頼りのない肩をガッと乱暴に抱いてみた。
その横顔に詰め寄り、質問で耳をくすぐれば、マギレ君は答え辛そうに、閉じた膝元を見つめた。
その無言が肯定を示していることは一目瞭然だった。
あー。
「来る時も言ったけど、それは最善ではない気がするよ」
マギレ君は言葉を探すように黙りこくっている。
感情を覗くと
『このままなにもせずにはいられない』
『スミレを守る機会を逃したことが惜しい』
『もう二度と機会を逃したくない』
『以前よりもずっと長い時間見ていたい』
という感じだった。
「確かに、今回の事件、マギレ君が近くに居れば行動できたかもね」
「!」
バッと、マギレ君は私の方に顔を向けた。
が、思ってたより顔が近かったらしく、慌てて視線を自分の手元に移した。
かわいいな?
「次同じようなことが起きたらすぐ対処できるように、付き添っていたいんでしょ?」
「はい…」
「たった一人で?」
「勿論!」
「24時間ずっと?」
「も、勿論。……できる、だけの時間を」
「それは素敵な志だ」
非現実的な具体例を挙げて肯定させることで曖昧な部分を、提示した非現実例とすり替える。
そうだと言わせてしまえばこちらのもの。それが自分がやろうとしていることであると思い込むか、そうだと言った手前そうするしかないのではと思わせる。
そしてまず話を聞いて欲しいときは、初手で相手の言い分を肯定しとかないとね、勝手に攻撃されてるって勘違いして意地になられるからね。
ま、多少はね?他意くらいないとね。
「あ……ありがと……」
マギレ君は狙い通り思考してくれたようで『24時間は無理かも』という不安が脳裏をかすめた様子だった。
これ見よがしにそれを肯定して褒めることで意地になられる可能性を減らし、不安をより滲ませた。
そこで逆かハードルの低い提案をすればいい。
「ホントに素敵だと思う。
でも、無理だね。」
「え…」
「人は休まないと弱体化し衰弱していく。かといって休んでいる間に大切な人が狙われたら意味がない」
肩を抱いているのと逆の手で、俯くマギレ君の頭を髪の流れに沿って撫でた。
大人しく、言葉の先を待っているようだった。
「私の修行を見てるなら分かってるだろ?君はどうしようもなく弱いって。
そんな君が侍ったところで、足枷にはなれても、盾になれるかどうか、怪しいものだ」
「でも……ボクは……!」
「委員長が傷付いて、とっても辛いって気持ちは伝わってるよ。だから何か行動して、安心したいんだってことも」
図星のようで、マギレ君は静かに息をのんだ
よし、マイナス言葉いけるな。
「でも、マギレ君が考え付いた行動は良策とは言えない。
己を蔑ろにしてまで見守るなんて、そんな自己犠牲をする必要が……そもそも、自己犠牲が通用するほどの力がない。
無力や無能の自己犠牲なんてもはや迷惑にしかならないものだよ」
「……ううっ、」
否定を素直に受け入れたらしいマギレ君は、泣きそうな顔で俯き呻いた。
ここでやっと、行動を見失ったところ。
「何も出来ずに不甲斐無いと思うなら、
何かあった時に何かしてやれるようになればいいだけさ」
「何かあった時に…」
「うん」
次の行動を考えさせる前に、するべき行動を示してやればいい、という事だ。
「私言ったよ。傍に居たからといって守れるとは限らないと。
非力の癖に、能力習得する間を惜しみ ただ付き纏って何になる?」
「迷惑と徒労か?」
「……!」
「うわびっくりした。
おま会話に加わる気あったんけ」
「悪かったか?」
「いいやちっとも?
罪悪感への慰めにしかならないって言おうとしたんだけど、まあ、場合によってはそれにもなるかもねぇ…」
話の腰を折られちまった。