□10 職場体験終了まで[10p]
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放課後。
ホームルームが終わり解散となったところで、マギレ君に袖を引かれた。
「號さん」
「ん?」
「二人で、お話しできますか?お昼に出来なかったので…」
「いいよ。どこ行く?公園?店?」
「いいえ、もっと人目につかない…裏山でもいいですか?」
「へえ。いいよ、行こうか」
「二人とも、一緒に帰るの?」
「す、スミレさん…えええッと、これはその違くて…!」
「そうだよ。安心して下校しな委員長、しっかり見張っとくから」
「號さん!?」
「ははは冗談冗談信じてるよ。それでどうしたの委員長?」
「……ううん。何でもない。二人とも、また明日ね」
「は、はい!また明日…!」
「お疲れ様~」
どうしたスミレちゃん。
何か相談事だったように見えたが。
それともこれから鵺植えの作業するから、マギレ君がついてこないようにって確認したかったのかな?
どちらにせよ
「行こうかマギレ君、委員長の背中に見とれてないで」
「……はっ!? あ、はい!」
という訳で裏山奥。
いつものように一気にスッサスッサ登ってきたのでマギレ君息あがってるけど。
持久力はあまりないのかね。
「裏側に来たよ。ほらここから里見えないっしょ?つまり里からも死角。この辺でいい?」
「ゼェッ は、はいぃ…ゲホッハァッ…ありがとうございますっ…」
「おい大丈夫か。話の前に少し休もうか」
「はい…。って、何始めてるんですか…?」
「バービータックジャンプですけれども。疲れてないしお気になさらず」
「す…すごい…」
「ありがとう。落ち着いたら言って」
「はい…」
すごいねえ……
確かに非戦闘員よりは力をつけた自覚はある。
でも、まだほんの砂利にも及ばない…いや、砂粒にすら劣る…私の目指す場所はまだ果てしなく遠い事もよく知っている。
ああマダラ…マジで届くのかな。あの強さに。
いや、届く届かないじゃない、届かすんだ。届かなかったら、あの地獄に…現実に…クソ三次元に帰されてしまう。そんなの絶対に嫌だ。
届かなければいけないんだ。
後先を考えないのは愚かではあるが、時に愚かになることも必要だ。
今だけ見て、一度きりの一瞬一時に全てをかける愚かさこそが、剣でもあるのだから。
「あの、もう大丈夫です」
「ん。っよっと フー」
声を掛けられ、最後のジャンプから着地した。
マギレ君は荷物の中から、黒い巻物を一本取り出していた。
「それで話って?」
「コレを…」
「海苔巻みたいだね」
「あはは……君のお姉さんから預かっていたんだ。学校に復帰したら號さんに渡せって」
「ふーん?」
つまりこれがハオリの言っていた『合図』か?
受け取った巻物をくるりと回して見てみる。
留め具がないどころか、めくれるところが見当たらない。
「え、どうやって開けんの」
「どこでもいいから、その號さんの…血をたらせばいいんだって」
「ええ…」
しょうがないにゃあ…。
袖をまくって包帯の及ばない腕に噛みつき、流れた血をポタタッと巻物にたらした。
かかった血が巻物にシュッと吸収されたそのとき、巻物の紙がプツと裂け、捲れるようになった。
抓んで巻物を開いてみると、『駮』という文字を中心にした口寄せ術式があった。
「まだら…?」
「『はく』だよ。…口寄せ動物です」
「口寄せ動物。で、これをどうしろって?」
「相見記念。好きに使って役立てて。…だそうです」
「ほあ、プレゼントか…
で、この駮がどんな生き物かは聞いてる?」
「はい……でも、その、信じられないかもしれませんけど…」
「幻獣の類だってことは察したからいいよ、話して教えて」
「その…――」
この世ではない、異界に生息する動物。
その異界は駮が生を受けるのと共に生まれた、いわば駮だけの世界であり、駮以外の動物はいない。
その世界にこの世界の物を引きずり込む事や、放出することが出来る。
刃物で傷をつけることができない。
食事はチャクラか、こちらの世界に生息する猛獣の肉。
「…――虎と豹の肉を特に好む。
血で契約を結ぶか、それともその巻物を仲介して使い続けるかは自由。
ボクが知っているのはここまでです」
「なるほど。届けてくれてありがとう」
つまり、絶対に見つからない修業場をくれたという事か。
駮。この漢字はなあ…どうしてもマダラと呼んでしまうが、いや、わかるよハク…ハクなぁ…。
もしや狙ったのかハオリお姉さん。
「他にお姉ちゃんからの伝言は?」
「えっと…駮の世界に、より詳しく記した書面を置いている…とのことです」
「どっちにしろ呼ばないと始まらないと。うん、ありがとう」
「いいえ。號さんの役に立てたのなら…よかったです」
ああ、そうだ
「それなんだけどさ」
「え?」
「結局マギレ君はこれからどうするの?」
きょとん、と。
マギレ君が目を瞬かせた。