□10 職場体験終了まで[10p]
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その日の昼休み。
教材を整理しているところにマギレ君が話し掛けてきた。
「あ、あの…!號さん、この後」
しかし、その声に被せるように、
つまり私が言葉を返す前に、複数の軽い足音。
「ねえマギレくん!よかったら私達と一緒にご飯食べない!?」
「え、…え?」
「普通科でどんなこと勉強してたの?」
「忍術科の授業はどうだった?良かったら教えてあげてもいいのよー」
「えっと…」
いつか木ノ葉丸を囲んで媚びてたミーハーな子たち。
押しの強い女の子達にキャッキャされてあれよあれよと連れてかれたマギレ君。
やべえおもしれえ。
とか思ってたら、入れ替わるようにかぐや君が寄ってきた。
「いいのか?」
「え。何が?」
「明らかに困ってただろ」
「やー別に、まんざらでもないでしょ 構ちょ君だし」
「かまち…? …嫌がってたわけではない……のか?」
「知らんけど。ハハハ。 ところで何の用?」
「ノートは役立っているか?」
「うん勿論、とても助かってるよ~」
「昨日披露した、湿気た蛇玉のような火遁でか?」
「よーし今から校舎裏な」
「? わかった」
こいつは親が親だから黙っててくれるだろってことで。
例の校舎裏。
「逃げる準備はいいな?せーのっ火遁、灰塵隠れの術」
「ぁつっ…土遁ッ土中映魚の術!」
「おー印はやーい。土中に潜って回避なるなるいいじゃない。はい霧隠れの術。
…っし、はーい相殺したよー、もう大丈夫だよー出ーておいでー」
「……お前、なるほどな」
「そうだぞ目立たないようにしてるのはかぐや君だけじゃないぞー」
「どうしてそう思った」
「遁術使ったとこ今初めて見たし、男女対抗戦での組手も手加減してただろ?
私もだよ」
「互いに、他言無用ということか」
「よろしく」
「むしろこちらこそ」
すんなりいったぞ。
「ところで火遁以外にも使えることに驚かないんだね?」
「母さんに聞かされていた。
號の母さんは全ての性質変化を使いこなしていた。ならば娘の號も、その可能性は大いにある、と」
「なるほど」
話が早くて助かる
「じゃ、そういうことでまた午後会いましょ」
「何処へ行くんだ?」
「図書室でーす。
私は運命ではなく、宿命だから。逃げたり変えたりできないし、する気もない
猶予と素質と極上の血があるのだから、感謝してるし文句言う筋合いもない」
「?」
「そういえばかぐや君はどこで修業してんの?私は裏山とか森でやってるけど、あれならこれから放課後の修業一緒にやる?」
「悪いが修業は一人で行うと決めている。
場所も、蟻に逆口寄せをしてもらって初めて行ける秘境だ。連れて行こうにも、今は俺と母さんしか立つのを許されていない。ついてきても殺されて食われるのが関の山だ」
「そっかー」
別に期待してないけど。
恩のない相手、対等な相手との修業はどうしても互いを高め合うという展開になる可能性が高い。それはつまり手伝い合うという事だ。
私は手伝われても、他者の修業を手伝う暇はない。
昼休みが明け、白板の元へ戻るとマギレ君は一人で最後尾に座って顔を伏せていた。
ズーンと言う擬音が聞こえてきそうだなおい。
さっきマギレ君を連れて行った女子は離れたところでおしゃべりに盛り上がってる。
「やあ。マギレ君との交流はもういいの?」と話しかけてみたら。
「號ー、あんたの守備範囲超広かったんだねー」だの、
「いやー騙されたわー、やっぱ顔が良くても中身がだめなら普通はナシよね」だの、
「イケてたのは見た目だけだったっていうか」だの、
「だからー、マギレくんは號ちゃんにあげるー!いらないし」だの、
他にも女々しいとかじれったいとか暗いとか内股ドン引きとかボロクソ評価が返ってきました。
笑いながら雑談のテンションで。ひえ…幼女って残酷…。
バカヤロウそこがいいんじゃねえか!と言う言葉を飲み込み「そっかー」つってその場を離れた。
そして相変わらず三角座りで落ち込んでるマギレ君の隣へ。
午前中と同じ場所に同じようにしてハンカチ敷いて座った。
「よいしょ。ただいまー」
「……おかえりなさい、號さん…」
顔を伏せたまま返事を寄越してくれた。
元気ないなー。
「なーんか大変だったみたいだね?」
「忍術科の女の子って…普通科と全然違うんですね…」
「まあ…戦場で命を賭して戦う忍者を目指してんだから、多少勝気なところはあるね」
「……お二人が特別だったんですね」
「ん?」
「號さんとスミレさんのことです……」
「ああ、ははは」
よりタチが悪いから外ツラがいいんだよなあ。
愛しのスミレさんは鵺の舌をばらまいて木ノ葉崩しの準備を着々と進めているし、
私はそうやって落ち込んでるクラスメートを前にしても『しめしめ好感度上げられるぞ』としか思わない。
「まあ…なんだ、元気出せよ。何言われたか知らんけど、私はマギレ君の味方だからよ」
「……ありがとう」
慰めるように背中をパンパン叩いていると、シノ先生がこちらに歩いてくるのが見えた。
いつの間にかクラスメートたちも集まっている。
さ、次の授業が始まる。