□8 ストーカー事件終了まで。[6p]
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温かい。
そう呟いて、マギレ君は瞼をゆっくりと開いた。
待ってはやい。まだ全部注いでない。
そして会話しながら注げるほど器用でもない。
「え?……あれ……?」
「……」
「動くな!」
「は、はいッ!?」
「クククッ素直だね……動くと火傷するよ」
「えええ?!」
お姉ちゃんに初会話とられた。
流れる沈黙の中で、注入を終え、置いた髪束を取った。
ひとまず回収した抜け殻は手裏剣ホルスターにイン。
「もう動いていいってさ~」
「あ、はい…」
マギレ君は確かめるように手を開閉しながら上体を起こした。
「軽い…。軽くて…温かい
さっき目を覚ました時は…あんなに寒くて、辛かったのに……」
「あ、一度目ぇ覚ましてたんだ?」
ぺたぺたと自分の身体をひとしきり触ってから、マギレ君はこちらに顔を向けた。
「……うん。チャクラの使い過ぎだって。それで、倒れる前のこととか、色々…」
「聞かれたの?」
「うん。…あと…退院するまで謹慎扱いって…」
「ふーん」
何だもう尋問済んでんのか
ていうかもう治しちゃったんですが
「君が…?」
「ん?」
「このチャクラは…君がくれたの?」
「ああ。うん」
「……ど、どうして?ボクなんかに…」
「いや、何か心配で来たら辛そうだったから」
「でもボクは、……、見えてなかったかもしれないけど、君の腕を…」
「手鎌で切り落とそうとした?」
「!!」
「ずっと見えてたよ。
君は誰も自分を見てくれないって思ってたみたいだけど、消しゴムをなくして困ってた時、委員長が声をかけなければ私が声を掛けていた」
「え……?」
という嘘を切り出しに、
「委員長に憧れて、共通点を持ちたかったから、翌日にサンダルとホルスターを付けていった。まあ付け方間違ってたけど。
その翌日、私が教えた通りにホルスター付けて来てて嬉しかったし、でもなんだか筋肉痛みたいで心配した。
その日の帰り、手裏剣を買いに行ったけど、両刃がなんとなく怖くて、クナイにしたんだよね。5本買うつもりだったのに、2両足りなくて4本だけ買ったよね。
スミレ委員長に見合う男になるって、放課後毎日修行してたよね。腕立て伏せ100回達成した日、気が付いたら周り真っ暗で、帰りに警務部の人に補導されそうになってたよねハハハ……私も毎日は見てられなかったけど、1日1日、着実に強くなってたのはわかってた」
見ていた真実を羅列していけば、マギレ君は目を見開いて絶句していた。
驚いた顔のまま、出来事にはコクコクと頷いている律義さかわいい。
「ね。スミレ委員長にお礼を言いたくてタイミングをうかがっているうちに、心地よくて満ち足りててドキドキして、これが自分の愛なんだって気付いて、習慣化しちゃったんだよね。
スミレ委員長を見守りながらも、修業と勉強の両立…いや三立?ができてたのは本当にすごいと思うよ」
「君が……見守ってくれてたなんて、全然気が付かなかった…」
「応援してるって言ったじゃん。フフ、忍術科をなめたらいかんぞ」
「どうしてそこまでボクを応援してくれるの?ボクは…君の名前すら知らないのに…」
「ああ、私の名前はトワニ號。よろしくね」
「トワニ、號さん…は、どうしてボクを…?」
「一緒だからだよ」
「一緒…?」
さて、用意していた言葉を吐くぞー。
ここからが勝負だ。
「目に付いたのは、偶々だけど――私 孤立してる人 目に付くんだよね――、そう。好きな人が出来てからが、私と全く一緒。
例えばスミレちゃんは忍術科で、普通科の自分より絶対に強い。だから、近づく権利を、せめて足元にでも、そうして強さを求めたところが私の琴線に触れた。
愛する人に見合う人になりたくて、自分を鍛える、今の私と全く一緒。
だから、君が強くなっていくと、勇気を貰えたし、自分のことのように嬉しかった」
「號さんも……」
「うん。
私も、好きな人が居るの。勉強中とかに行き詰まると、ついその人の名前でノートを真っ黒にしちゃうくらい。フフ」
「ハハ、ホントだ。ボクと一緒だ……」
「フフフッ ……ただ一つ違うとすれば、私が好きになった彼は、ずっと遠い人なんだ」
「遠い人……?」
「うん。
その人は木ノ葉の忍ではないし、とんでもなく強くて、そして強くない忍には興味すら持たない、そんな人なんだ。
だから私はその人の視界に入れるくらい、強くならなきゃいけないの」
「どうしてそんな人を……?」
「好きな人のどこがどうして好きなんて、一言じゃ言い表せないし、言い切れるわけないよ
キミもそうでしょ?」
「まあ…そりゃあ……そうだけど」
「そういうこった。
だから、隠蓑君も早く学校に来て、また一緒に頑張ろ!」
「!! ……でも、ボクは…君達を危険な目に合わせて…学校の設備にだって……」
「感情の奴隷となった自分を知って、それを恥や恐ろしいと思えることは素晴らしいことだよ」
「……」
「隠蓑君も私もまだまだ子供なんだし、スミレちゃんだって許してくれたでしょ?
イタズラだって火影岩破壊したボルトや校舎ごと破壊した忍術科に比べれば可愛いもんだし。
学校も友達も許してくれるよ」
「それでも、ボクの気が済まないんだ……」
「なら、私のために学校に来てよ。
被害者の一人である私を手伝うことで償ってよ」
「え?」
「私は強くなるために修業するし、勉強だって頑張ってる
そんな私を手伝ってよ。修行の手伝いや、普通科と忍術科共通の科目があったらそれ教えてよ」
「……」
「私に協力するかは自由だけど、私は、マギレ君を待ってるよ」
「……考えさせて」
「勿論。いくらでも」
よし。こんなもんかな
「さて……
それでお姉ちゃんは何しに来たんだっけ?」
「んー?」