□4 メタル事件解決まで[6p]
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なっさけねえ。
起き抜けに、輝く夕日色が目に染みた。
結局、手裏剣の一本も投げられなかった。
がんばってあの場で気絶はしなかったが、あのあとの記憶がおぼろげだ。
何人かに心配そうに声をかけられながら委員長に手を引かれて、
校舎に戻るなり先生に持ち上げられて上着も着たまま保健室に寝かされた。
サンダルと、四肢に着けていた重りは外されてしまったが。
がりりと引き裂かれるような痛みと、ぐわぐわ揺れるめまいに、手や身体も震え始めていた。
汚れを気にする余裕なんてなく。
横たえられたとたん、意識は汚濁に突き落とされ、埋葬されるように眠った。
目が覚めたら、コレだよ。
黄昏時が窓からこんにちは。
情けない。
午前中の授業から、恐らく今が放課後として何時間無駄にした?
情けない、情けない、情けない。
この身体は、決して無力ではない。
最高の血が流れてるんだ。
だから最高の才能があるはずなんだ。
この私は、
そうでなければならない。
まだ大丈夫だと信じていた。
耐えられると信じていたのに、出来なかった。
私の意志の弱さのせいだ。
使いこなせるだけの精神力が私にはまるで無いんだ。
この私は何も悪くない。
この身体は、こんなものではない。
こんなものであってはならない。
それなのに、私がこんなものにしてしまった。
情けない、悔しい。
後悔と自己への憎悪と痛みと屈辱とに殴られ打ちのめされ、惨めにずぶ濡れたような心地に、目頭が滲んだ。
あ?
何泣いてんだよ。
無能が。
お前(私)に、この身体を泣かせる権利なんてないんだよ。
涙を溢さないよう顔を上げてゆっくりとしたまばたきと深呼吸をしながら起き上がり、取られた重りを視力で探した。
が、目に入るカーテンの内には見当たらなかった。
ていうか上着のままかよきたねえな。
綺麗なシーツに申し訳無い。
頭痛はまだ僅かに残ってるが、これくらいならば……身動きとってりゃきっと直っているだろう。
戸の音がする。
ずっと近くにあった人の気配――恐らく保険医――が何の用事か退室した音が聞こえた。
数秒後。
廊下から、足音ひそめて駆ける振動が伝わってきた。
…ちっとまて
足音が保健室の前で止まっ…うわ入って来っうわこの気配ちょ布団に戻っ
「おい號!もうとっくに放課後だぞ!まだ良くなってねえのか?!」
速ぇえんだよ足がよぉ!お前イワベエよお!!!!!!
布団の中ではいシカト!!
バフッと布団被る瞬間とカーテンが問答無用にシャッと開けられる瞬間が同時ぽかったけども!!
「……お前今起きてただろーが!」
はい見られてましたーはーいご一緒にー、
ギャアアアアアアお布団引っぺがされて両肩掴まれたたたはっはァアアアアアアアア!!!!
「おまっ…!?」
あああああああああもう
バッと突然そっち向かされた勢いのせいで涙こぼれちゃったじゃねえかよ!!
こちとら病人の身だぞ!!乱暴に扱いやがって!!!やめろこんなおれをみるな!
とりあえず愛想笑いながら「あはは…」としか言えねーよ。
「なん――」
「待てってイワベエ!全くはえーんだってば、さ……」
うわボルト来た。
うわ探ってみたらまた何人かこっち向かってるやん。
なんなの?みんなでお見舞いに来てくれたの?暇人なの?
さて即座に現状を理解したのか、イワベエ君と言えば喉がヒュッと鳴り身体をギクリと岩のように硬直させた。
わー。
目の前でイワベエ君の顔がサーッと青ざめてくー。
冷や汗かわいい。
イワベエ君越しに見えるボルトの表情はといえば、
怒りと嫌悪の表情が滲んでってるねえ。
「イワベエ、お前ッ……!」
そうだねえ。
イワベエ君たら、ベッドで寝てた私の両肩がっちりつかんで無理に起き上がらせたような体勢だし、なんか私泣いてるねえ。
「號に何したんだってばさ!!」
「誤解だ!!」
タイミング絶妙すぎんだろ。
こんなん顔中草まみれや。
あぁ^~涙引っ込む
とりあえず、
クスッと高く好意的な声を鼻に乗せてから、クスクスと控えめかつ面白気に笑って見せといた。
そうすることで一瞬尖りかけた空気を緩和すると同時に、
笑顔を作ることで副交感神経を働かせた。
まあよくある、笑うことで涙を流す程緊張していた心を落ち着けて息を整えるやつ。
人前で心を乱すなんてとんでもない。
笑って余所行きの感情を無理やり立ち上げる。
先ほどまで抱えていた焦燥や自己嫌悪の気持ちは、今日はここまでといつものように上書き保存で更新後バツ閉じした。