□3 イワベエ案件解決まで[6p]
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―――どうして。
どうして。
どうしてこんなにも違う。
放課後、何百回も反芻してきた言葉をいつものように心で叫ぶ。
声に出して叫ぶのをこらえ、発散させるように裏山の土を殴り続けた。
漫然とした打撃は弱い。
一発一発、心を込めて丁寧に。
黒い手袋の中に巻いていた包帯に、今日もまた血が滲んだ。
骨が歪んだってかまわない。
むしろ歪め、『殴る手』になるんだ。
痛む拳をそのまま地面に突き立てて逆立ちし、腕立て伏せを延々と。速筋を鍛える。力が入らなくなるまで。入らなくなっても力を入れるんだ。
痛い、疲れた、痛い、つらい、痛い、動け。
やがて心の中はそれだけになる。
手が震えて上がらなくなったら手を休めがてら遅筋を鍛えるために走り込みだ。
動けなくなるまでではない。
日が沈むまでだ。動けない?それでも動かすんだ。繰り返す。
今日は遅筋酷使して鍛えたから明日は遅筋休息日、遅筋の代わりに術の練習。
帰れば兄さんが食事を用意して待っていた。
アカデミーはどうだったと聞いてくる。
いいところだよ、と返した。
部屋に、包帯と塗り薬が置かれていた。
翌日。
「あっ!おはようございます、號ちゃん」
「おはようございます、委員長」
真っ先にスミレちゃんがあいさつしてくれた。
「おはよう!」
ぱちんとウィンク飛ばしながらサラダちゃんにあいさつしてみたら、
「……おはよう」
返してくれたぞ!
「おっは~」
「おはおはー!」
ついでにチョウチョウちゃんも挨拶してくれたので返しとく。
席なんだけど。
昨日授業受けてて思った。
教室の席。
真ん中の段の中央の席。ど真ん中。
ある意味一番教師と目の合いやすいであろうテーブルだけががらんとしよるのが個人的にすげえ気になった。
ので今日からそこに座ろうと思います。
つまりチョウチョウちゃんの前でデンキ君の後ろ。
そして…
「おはよう」
「ん、おはよう、かぐや君」
麻呂眉ヤロウの隣。
……確かアニメでは、今一番後ろの席に座ってるあのワイシャツっぽい服着たモブ的な子が座っていた気がするが。
「あー……ボルト、今日一緒に昼メシ食おうぜ!」
「あ、オレもオレも!」
ふと教室前方から聞えてきた声が耳についた。
モブ的な男子生徒がボルトに歩み寄っているところだった。
まあ、昨日の戦いでイワベエの横暴を叩き自分は七光りなどではないと証明したボルト君に好意や尊敬を持つ生徒が一人も居ないなんて方がおかしいだろうね。
「おう、食おうぜ!」
ボルトはすでにすっかりクラスの一員として打ち解けていた。
「はわわ……よかったぁ」
「あんたが心配しなくてもいいのに、心配症よねぇ委員長ってば。ま、ハラハラしながら見てたのはサラダも同じかぁ」
「ちょっと、だからそんなんじゃないってば、チョウチョウ」
はわわ(絶対にブチ殺してやるという強い意志)
と言うのは誇張だが。
目を付けていた獲物を取られたような苛立ちと焦燥を僅かに感じた。
でも、クラスの険悪な雰囲気が解消されボルトが馴染むのを心から喜ぶ気持ちも感じる。
なんか大変ね、スミレちゃん。
さて着席し今日の最初の科目はとショルダーバッグを開き時間割を確認して教科書を選んでいれば、教室のドアの音と共に生徒たちがざわついた。
なんやなんや。
顔を上げて確認する前に生徒の一人が怖じ気づいたように声を絞り出した。
「い、イワベエ……くん」
なんだイワベエ来ただけか。
着席したままノートの確認を再開しつつ気配を探れば、ボルトの席まで真っ直ぐ向かっていた。
「お? よお、イワベエ」
「……おお」
バツが悪そうに頭をかく仕草をしてはいるが、嬉しいようだ。
天使か。
「ちゃんと授業、来たじゃねーか」
「フン……クラスメート、だからな」
すとん、とイワベエ君が私の隣席に腰を降ろした。
や っ た ぜ 。
前の席でデンキ君が戸惑いの声を上げたり、シカダイがめんどくせえとため息をついているのがかわいい。
「おはよう。よろしくね、イワベエ君」
「あ?……おう」
ギャアアアアこっちみた!!へんじした!みて!へんじしたよママー!(珍獣扱い
「昨日。かっこよかったよ、戦ってるところ。強いんだね」
「……!、まあな。あれぐらい当然だ」
褒めたら驚いた顔したあとほっぺかいて照れた!!!!照れたよ!!!!!ママ見て!!!!なにこのこかわいい!!!!!!
まあ。
自分は恐れられてたり煙たがられてるの分かってて教室来たんだぜイワベエ君。
すげえ勇気あるよ。
こうやって好意を向けられるなんて思ってもみなかったんだろうね。
そんなん好き好き言うしかないよね。
「私転入して来たばかりで分からないことばかりだから、学校のこととか、いろいろ教えてくれると嬉しいな」
「……お前、名前は?」
「トワニ號」
「ふーん。……気が向いたらな」
「本当?優しいんだね、ありがとう」
そんな感じで色目使ってると、
後ろの席でチョウチョウちゃんが「へーえ」って面白そうに口角を上げていた。
期待しているところごめんだけど別にイワベエ君と恋を始める気はないゾ~~~。
「……ん、トワニ?お前もしかしてあの女男の親戚か?」
「えー、イタン兄さんのことですかね。だったら実妹です」
「の割には全く似てねえんだな」
「私もそう思います」
そもそも異父兄妹だしな。
あと対之一族の特徴として、一族外と生殖した場合その子供の容姿は相手の方にくっそ似ちゃうってのがあるしな。