□21 修学旅行編収束まで[10p]
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ところ変わって、ホテルのロビー。
いのじんとシカダイとともにホテルへ戻った方の私は、とりあえずボルト等の心配をしていた面子や、シノ先生を誤魔化していた。
「――ですから、ちゃんと点呼の時間までには間に合うって約束して別れましたし、ボルト君も他のみんなも約束破るような奴じゃないですから、大丈夫ですって」
「しかし…、いや…」
「めんどくせーな。なんかに巻き込まれてんならそもそも伝言なんてしてねーって。どーせ点呼の時間になったらみんな戻ってんだろ」
「そーそー。ていうか、生徒の言うこと信じれないなんて教師失格じゃない?」
「むむ…」
特に蟲を使って探らせようとしていたシノ先生には気を使って。
いたら。
「……ハァ。わかった。そこまで言うのならギリギリまで待とう。その間は……號、少しいいか」
「あ、はい」
少し離れたところまで呼び出され、
「一つ聞いておきたいことがあってな。……先日演奏してもらった彼女達の保護者と連絡を取りたいのだが」
「んあ、はあ」
「トワニイッタイ殿を通せばいいと聞いたのだが、可能か?」
「ああ、まあそうですね。お手紙でもあればうちに設置してる例の直通術式でお届けしますけど」
「そうか。それは助かる」
「けどどうしてまた?」
「いや、それは…」
「先生ロリコンです?」
「違う!妙な勘違いをするな!!」
「アハハすいません。そういえばなんとなく思ったんですけど、シノ先生とアサリさんってなんとなーく雰囲気似てますよね」
「! …そう思うか?」
「なんとなく。親戚でもないのに不思議ですねー」
「いや…それは…。…ああ、そう…だな」
丁度良く、アサリの事を気にするシノ先生に質問を受けたりなんなりで、ちょっとした長話をすることができた。
そんな会話も終わって、ロビーの中心に戻っても、ボルト達は現れない。
点呼待ちの生徒は、おしゃべりをしたりお土産を見せ合ったりと、思い思いに暇をつぶしている。
いちど先生に断ってから、荷物整理などでいったん部屋に戻ったりした生徒達もいる。
「ボルト達、まだ来ないの?」
「オイオイ…本当に大丈夫なのか…?」
「大ー丈夫だって。ミツキが付いてるんだし」
やがて、点呼の時間が間近に迫る。
すでにホテルのロビーにはほぼ全員集まっており、残すところは喧嘩メンバーのみだ。
コソコソ心配の言葉を口にするいのじんやシカダイ、それから…
「ボルトくん…サラダ……」
「スミレちゃん」
「號ちゃん…」
「大丈夫大丈夫」
サラダちゃんを送り出した委員長もなだめておいていたところ。
――本体から共有が来た。
「は?」
いや情報量。
ナガレ姉さんと邂逅のちドンパチって何しとんねん本体。
てかハオリが言ってた『私のかわいい追手』てナガレのことだったんかい。
しっかし母を解き放とうとするトキ姉様と違って、ナガレ姉さんはちゃんと典型的な対之思考なんやなって。
つーか屋上に戻ってくるのなら、迎えに行かないと。
「號ちゃん?」
「あ、いやなんでもない。ちょっと外見てくるね」
首を傾げるスミレちゃんに一声かけて、とりま私は茶番に入った。
いったん外に出て、10秒数える。
そして、タタタタと走って引き返す。
「號ちゃん?どうしたの?」
「上に居るあいつら!なんか謎の壁走り競争してやがった!」
「え!?」
適当言いながらスピード落とさずロビーを横切って、誰かが追ってくる前にエレベーターに飛び乗った。
私の言葉に反応してこっちに走りかけていたシカダイいのじんデンキだが、彼らが追い付く前に、私が乗ったエレベーターは閉まった。
そのまま屋上直通のエレベーターがある階で降りて、そっちに乗り変える。
そして屋上に到着。
エレベーターから降りたところで。
「―――ぶはぁっ!! オエッ!!あっんの…野郎……俺が出る前に閉じかけやがったなァ…ッ!!」
丁度、本体の私がこっちに到着したところだった。
嫌がらせされてて草。
まあマジレスすると修行の一環だろうけど。
「口悪くなってて草。脱出乙」
一歩間違えれば腰チョンパやんな。
「…ああお前か、お疲れ」
「オウ」
ということで鉛分身の私はここで消えた。
本体に記憶が行く。
さてと。
「え、え?!號…?」
「おま…こっちにも分身寄越してたのかよ!?」
「相変わらすげえ持続力だな…」
とか反応してる皆に向き直る。
「口裏。とりあえず慰霊碑の夜中のライトアップを見がてら黙祷を捧げてきて、そこでかぐら君と この里の話をしてたらこんな時間になってたってことで。で、慌てて走り帰ってるうちに競争になって、ヒートアップして、ここのホテルの壁駆け上り競争して、そんで今この屋上に至る……ってことで話合わせてもらっていい?」
「おお……お、おう」
「わかりました」
ボルト、サラダ、イワベエ、燈夜、マギレ、そして私。
怪我も完治して、服の破れも直してある。
真っ二つにされていたボルトのジャケットも元通りになってる…のは、ハオリさんがやったのかな。
とにかく、これなら問題なく誤魔化せそうだ。
「じゃ、点呼に行こうか」
皆でエレベーターに乗り、ロビーへと向かう。
ナガレ姉さんとの戦闘について物申したそうな視線を感じたが、私はそれに振り返ることなく、皆をロビーまで先導した。
その後は何事もなく。
あったとすれば、遅いとか心配したとか、そんな軽い小言を貰う程度で。
点呼は無事に終わった。
怪我は治ったとはいえ、喧嘩メンバーはへとへとな様子でそれぞれの部屋に戻っていったのだった。
ま、長い一日だったものね。
私も同室の子達と合流して部屋へ向かった。
「――それでさー、また屋台のおっちゃんがいい人で」
「うんうん」
部屋に戻ってからは、荷物をまとめつつ、同室三人娘のお土産話を聞いたりして。
「――でー!そのカフェの店員さんがちょーイケメンでー!」
「うんうん」
ひと段落したらお風呂入って。
「――てかイワベエってさ、絶対號のこと好きだと思うんだよね!実際のところどうなのー?!」
「うんうん」
「…あ、聞いてない」
「もー眠いの?!早すぎー!」
そのまま就寝した。