□21 修学旅行編収束まで[10p]
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お待たせしました時間先戻りまして大混乱の鉛分身です。
ボルトとかぐらがヒラメカレイを駆使して鮫肌と屍澄真を引き剥がしたとこ。
で。
「そこまで」
……ハイ。
「霧の外で待機しているはずのあなたが、どうして最初からここに立っていたのですか?」
ちょっとびっくりしてる間にできたスキを突かれて、ずっと様子窺っていた長十郎の水分身に後ろをとられてしまった。
突き付けられてはいないが、抜刀している。
兜割りに割られるはずだった刀は、私達が出番を奪ったことでご健勝だ。
「おおかた、密かに…あらかじめ出していた水分身か、影分身といったところでしょうか」
見当も悪くない。
なら見くびらず返答するしかないか。求められるままに。この刃を降ろさせるに足る弁明を。
「なぜ黙っていて加勢してもいなかったか…って聞いています?勘違いしないでください。絶体絶命のピンチには奇襲が一番効果的。そしてそれは今」
「!」
術者である屍澄真の昏倒により、維持不可能になった紅霧が徐々に薄らいでいく。
「ボルトーー!!」
「サラダ!無事だったのか」
「マギレに治してもらったからね。服は號がやってくれたの」
「えへ!」
「號!…いや待て。お前、今度こそちゃんと本体だよな……?」
「そだよ!よこしてた水分身はやられちゃったみたいだねぇ」
すでに確保回収作業を果たしていた面子と本体の私も来た。
チンピラ達の監視は、霧の暗部達が交代してくれている。
…本体から共有来て知ったけど、結局暗部達、合流しに来たのよね。
「ボロボロじゃないですか…肩の傷とか、見せてください」
「ああ頼むわマギレ」
マギレ君という名のヒーラーがいた為、すでに仲間達は全員全快。
服の破れも私が紡いだ。
「ジャケットどうしたんだボルト」
「それがよー、攻撃あてるために使っちまって…」
「あっあそこ落ちてるのそうじゃないっスか!?オレ取って来るっス!」
「このまま真っ直ぐ走って帰れば、点呼の時間にも充分間に合いそうだな」
「ところで、イワベエと蜂谷はなんでいるんだ?」
「ああ!?助けに来たに決まってんだろーが!」
終わりだと、ホッとしたムードの中――
――鮫肌は、まったく物足りなげに蠢いていた。
予定では、満足そうにゲップすると聞いていたのに。
私の水分身と対峙し無駄な体力を使ったということもあるだろうが。
やはり、長十郎一同が紅霧結界から出るのが早すぎたんだろう。
よって、幾数人分ほど…霧に溶け込むはずだった血とチャクラは激減し、そこから吸収できるチャクラ量も少なかった。したがって、不満足と。
そして、今、薄霧の中で動いた。
なりふり構わず私は声を張り上げた。
「鮫肌はまだ満足してない!!」
「!」
「え!?」
子供達は、本体の私がそこに居るのに別の方向から私の声がしたことに驚愕する。
「まだ分身出してたのか」なんて燈夜が呟いているが無視無視。
それに構わず私は地を蹴り、本体はハッとしたフリをしつつ同じように地を蹴った。
再び屍澄真に向かう鮫肌を捕まえるべく。
意図に気付いた長十郎も、ハッとして、私に続くように踏み出す。
水分身の方は鮫肌の進路へ刀を投げたりもした。
が。
それが届く前に。
ズンッッ!!と。
『それ』は、上空からやってきた。
先ほどから海中よりこちらへ迫っていた『それ』は、崖下の水面から勢いよく上空へ飛び出し、そしてここに着地した。
長十郎の投げた刀は、『それ』の親指と人差し指によりギチリと挟むかたちでキャッチされた。
そのままポイと捨てられ、カラン、と鳴った。
「……」
極めて大柄な、『人影』。
タッパ190超えてんなアレ…。
「ギギ…!」
鮫肌は、その人物が片足で踏みつけるだけで、容易く地に縫い留められていた。
とっさに鮫肌より伸ばされた棘は、何か……否。浮遊する水塊がカバーのように阻んでいる。
「マジか…」
本体の喉から思わず声が漏れる。
チャクラの形態変化を性質変化でコーティングして水遁忍術の類っぽく見せているが。
あれは忍術ではない。
単純なチャクラ形態変化。それを手足以上に自在に操る、それはまさしく、対之の技術。
本来は、鉱物を加工し繊維を紡ぐために使われている技術。
「…!? …、干柿…鬼鮫…?!」
水分身の長十郎が、思わずと溢した。
そう。
「…まさか…そんなことが…」
続いて、本体の長十郎も。
「お、おいおい…こりゃ、何かの冗談かYO!?だって、かっ怪人は…とっくの昔に…」
「けれど特徴が合い過ぎる…。大柄な体、青白い肌…逆立つ藍色の髪に…、頬に走る干柿の証に…目元の戦化粧…。!ッいや違う!」
「へっ」
「目元の形が…、けど、それじゃ…?! ッそんなバカな!?」
そして、霧の民であるかぐら君と釣糸君も。
かぐら君は屍澄真がトキにしたのと同じロジックで、彼女が鬼鮫の『二人目の』子供であることを察したようだった。
「長十郎様ッ!」
「わかっています…!恐らく、彼は…」
かぐらの呼びかけに頷いた本体の長十郎も、その答えに辿りついているようだった。
まあ…、いっこ間違えてるとしたらあれは『彼』ではないんだけど。
「い…いったいなんなの…!?」
「…長十郎のおっちゃん?かぐらに蜂谷まで…あいつが…いったいどうしたんだってばさ…?!」
他の面子も、突如現れた『彼女』に、驚きを隠せないでいるようだ。
そして近くにいた釣糸君が胸ぐらを掴まれると。
「オイ!どういうことだ蜂谷!!」
「お、おおおオレも何が何だかわかんないッスYO!」
「じゃあその怯え方はなんだ!?アァ!?」
「ヒィィッ!?あ、姉御ぉおっ」
え、かわいい。
ぴーっと涙目で呼ばれたので私はイワベエ君の横へ瞬身で引き返し、釣糸君を掴み上げている拳にポンと手を置いた。
「へい、よしなってイワベエ君」
「チッ…」
惚れた弱みって奴だろうな、イワベエ君はアッサリ釣糸君を手放した。
投げ捨てるように落とされた釣糸君は、ひんひん竦み上がりながら這うようにして私の後ろに隠れた。かわいい。
「じゃあどうしろってんだよ!?点呼の時間が迫ってんだぞ!」
「落ち着け。まだ多少の余裕はある。…今は慎重に様子をうかがう時だ」
「そ、そうですよ…ボクもいろんな人の治療でヘトヘトなんですから…無用な行動と怪我は控えてください」
「くっ…」
そんな感じで事情を知らない木ノ葉の子供たちがわいわいしてる間。
「……。驚いたな」
「こっち見んなよミッキー」
「ミツキだってば」
ミツキは察したらしい。
ま、私を一目見て気付いたというのなら、私の兄姉に対してもそんな感じである可能性は十全にあったことだし想定内ですね。
そう。
改めて私はその大柄な人物を視界に入れる。
『彼女』は、…私の姉だ。
このチャクラは、母の記憶にある。
ナガレ姉さん。
トキ姉様の双子の妹。