□20 修学旅行編新七人衆のザコ組撃破まで[10p] ※霧が干柿一族を管理したというのは推測捏造です
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――マギレ君が私に話しかけた、その数秒後。
ボカカカーン!!と。
突如として爆音が響いた。
「ッ!」
「なんだ!?」
突然の爆音に、驚愕か警戒か、どちらにせよこの場の空気が怯んだ。
区切りには丁度いいか。
この爆発は、爆刀・飛沫の暴発によるものだ。
シナリオの予定よりだいぶタイミングが早まっているのはご愛敬と言うべきか。
釣糸君監視中の私からの共有が無ければ、焦っていたとも。
うん。向こうの状況も気になるよね。
それじゃあ少し時間を巻き戻して――現場の鉛分身の私さん!私さーん!
はーい!
私です!…ごめんね…なんかあっちこっちで好き勝手してて…。
まあ特筆すべき点は少ないでので簡単に。
シナリオだとただ不安げにうろうろしてた釣糸君をイワベエ君が取っ捕まえて、そんで色々むりくり吐かせて…で、手あたり次第探し回って慰霊碑に来るってなってたと思うんだけど。
これがちがーう。
なんか加勢行こうか行かないか足手まといを気にしてうろついて、そんで自主的にイワベエ君見つけるなり寄ってったんだよ。釣糸君。
すごい睨まれてたけど、怖がりながらも負けじと事情説明して、手あたり次第探し回るスタートかがかなり早まったのよね。
そして随分早く、慰霊碑周辺を包む紅霧結界を見つけて駆けつけてきたってワケ。
明らかに怪しい濃霧の塊に突撃したイワベエ君はまず高場に向かい、見渡せる範囲を図ろうとしたわけだが。
その進路の先には、ご存じ、彼がいる。
「ホォ…あの齢であのレベルの幻術とは…これは一杯食わされた。
とはいえ、維持していられる時間はそう長くはないようだ。既にスタミナ切れ…言葉にかまけてすぐにトドメを刺さぬあの三人にも困ったものだと思っていたが、結果的には良い時間稼ぎになってくれたというわけか。
フッ…長きに渡る不満を思えばおのずと言葉は増える。そのことを想定すべきだったな…――」
高みの見物とともにものっそい独り言してる鬼柚子一朗太くん。
…口と耳を使って思考整理するタイプなの?
つまり周囲に気を配らない自己中な性格か、もしくは普段近くに人がいなかったからそうなった感じのヤツかミ?
まあ何でもいいが、このタイミングでイワベエ君が駆け付けちゃうわけよ。
「――これで、こちらの勝ちは揺るがない…だが…加勢がいつ来るか、ッ!」
彼を見つけるなりイワベエ君は土流壁を放ち、一朗太はそれに反応し飛び退いた。
「…何奴!?」
「ボルトめ…一人かっこつけやがって。そうは問屋がおろすかってんだ」
すでに瓦岩棍の術を行使済みのイワベエ君が、正々堂々、一朗太が目視できる距離へと進み出た。
ボルト、という単語に一朗太は反応した。
「お主…奴らの仲間か。…まさか他にも」
「てめえごとき、オレ一人で充分なんだよ!」
「ハッ…ただのうつけか。ならば熟慮する必要ありません。…排斥するッ!」
「小難しい言葉並べてんじゃねえ!」
草。
っと。一朗太とイワベエの得物がぶつかり、鍔迫り合いに持ち込まれた。
アカデミー生と鍔迫り合いするとか超恥ずかしい新七人衆(笑)になっとるで…。
「フッ…」
鍔迫り合いならば、と一朗太が爆刀を起動する――前に。
勝ち誇った笑みという予備動作をした一朗太に感付いたイワベエ君が、すぐさま行動に出た。
土遁により岩槌と化している鉄棒の取っ手側。
イワベエ君は素早く取っ手の端を掴み、ガシュと仕込み短刀を引き抜きながら、一朗太の懐へ向かった。
そしてすれ違いの一閃。
完全に不意を付かれ、急に鍔迫り合いを放棄されたことで体勢を崩した一朗太はそのまま、斬撃を受けた。
「刀ってのはな…こうやって使うんだ!」
鋭い刃で斬るもの。
イワベエ君は、背中越しにそう語って、明らかに『斬る』形状のしていない一朗太の爆刀を皮肉った。
一朗太の脇腹は、布地とは違う赤に染まり…その口から、ツーと血が流れた。
「貴様ごときに…。…一点の曇りなき我が計画の邪魔はさせぬッ…!」
一朗太は爆刀を掲げる。暴発させ、自爆するために。
…いや、潔しと言ってあげたいとこなんだけどさァ…。
「あとは任せたぞ屍澄真!」
流石にねぇ…あんなちょっと胴体切られて口から血ィ出ただけで自爆て…潔いどころかスーグ諦める根性無しだょ。。。
「!」
だから迎撃態勢を敷いていたイワベエ君もこれにはびっくり。
追撃来ると思って完全に受動体勢をとっていた故に、その爆刀を奪うという能動にすぐさま切り替えられず――。
「させるかってんだYO!!」
「なっ!?」
ゆえに、釣糸君が行動に出た。
彼の手元から放たれたワイヤーが爆刀・飛沫に絡みつく。
同時に、思い切り引っ張ったが。
「うくっ!」
「渡さぬ!」
一朗太もすぐに反応し飛沫を強く握る。
そうこうしているうちに、飛沫は想像以上にゆっくりと光を増す。ので。
私の出番か。
「!」
「…!」
イワベエ君が目を剥く。
ああほら、涙ぐむなって釣糸君。
「なッ…ぐっ!」
釣糸君の横に突如現れ、彼のワイヤーを掴む私に驚愕するのもつかの間。
私が流した雷遁により、一朗太は脊髄反射を起こし、弾かれたように柄を手放した。
間髪入れずワイヤーを引き寄せる。
「手放せ!」
「はっ!はいっス!!」
飛沫がこちらに引き寄せられ飛んできた瞬間、私はワイヤーを手放して見せながら釣糸君にワイヤーを手放させた。
瞬時に、私は印を組む。
「影口寄せ っと」
飛んできた飛沫を私がキャッチするのと、私の影からズルッとマギレ君の影分身が姿を現すのは、同時だった。
「空に投げて!」
「、ふッ!」
間髪入れずマギレ君に押し付ければ、驚いた顔をしていた彼は、しかしすぐ指示通りに動いた。
爆発直前の飛沫を受け取ったマギレ君の影分身は、その怪力でもって勢い良く投げつけた。
絡むワイヤーを尾のようにはためかせつつも、飛沫は遥か上空へと打ち上げられた。
ボカカカーン!!と。
汚い花火が炸裂した。
やがて、消し炭になったワイヤーの跡を残す飛沫が落ちてくる。
「そん―――がッ……馬鹿、な…」
飛沫は、茫然と上空を見上げる一朗太の顔面にクリーンヒットした。
一朗太はそのまま崩れ落ち、意識を失った。
「か、間一髪…でした?」
マギレ君がボソッと呟いた。
「マ、マギレお前…どこから…」
イワベエ君が人差し指プルプルさせながらマギレ君を指差す。
おっとそこまでだ。
その続きを言われる前に、私は釣糸君の頭をガシッと引き寄せた。
「えっちょっ、?」
「弟者ーーーッ!!よおしよしよしよし!!お前ようやったぞ!それでこそ男や!!」
影口寄せに突っ込まれたくなかった私は、釣糸君の頭を脇に抱え、ワシワシワシと撫でまくった。
額当てスポンッと抜けちゃったけどお構いなしにワシャシャシャー!
「あ、姉御ッ、いやそんな、えへへッ」
「んなァ!?てめェ!蜂谷ァ!!!」
「ヒィッ」
草。
イワベエ君めっちゃ釣れるやん。
「そもそもなんでついてきやがった!?足手まといは要らねえっつったじゃねえか!!」
「そっそれは…それでも何か力になりたかったんだYO!」
「くっ……」
まあ結果的に助かったので何も言えんなイワベエ君。
「つか、號!!」
矛先変えよった。
「なんで蜂谷の野郎とそんな親しげにしてんだよ!そいつはお前を殴ったんだぞ!」
「いやそれについては私全く気にしてないって言ってたじゃん」
あっちこっち指差しておこプンプンで草。
「なんか改心して情報くれたし」
「それにしたって距離感おかしいだろ!姉御とか弟者とか…おかしいだろ!年上だぞ!?」
「で、でもオレ、光栄っす!」
「お前に聞いてねえ!」
「アッハッハッハ」
そんな感じでわちゃわちゃしてる間。
マギレ君の影分身は一朗太の容体を確認していた。
私も様子を見て彼らの誘導をしないとな。
……しっかし。
あの爆発でもほんと、飛沫には傷一つないんだよ。
うん。爆刀・飛沫の一番すごい所ってその本体の防御力だよな。どういう素材と製法で出来てるんだろう…。
爆刀とは言ったものの、盾として運用した方が強いと思うんよ。