□20 修学旅行編新七人衆のザコ組撃破まで[10p] ※霧が干柿一族を管理したというのは推測捏造です
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そんなわけで。
「――ひとつだけ条件があります。ボクも君達に同行させてもらいます」
「み、水影様が!?」
「水影としてではありません。ただの修学旅行の引率です」
追いついた頃にはこっちもいろいろ終わってたようだ。
「へっ!そうこなくっちゃ!」
「ただし、ことをおさめていられる時間は限られています。もし、過ぎれば…」
「大丈夫だ!そんなことはさせないってばさ!」
私の接近に気付いたメイと長十郎がこちらに意識を向けた。
が、一瞬アイコンタクトを取っただけで何か言ってきたりはしなかった。
やはり影には気付かれるか…悔しいのう…。
「…。彼らの居場所はこちらで調べておきます。今のうちに必要なことを済ませてくるといい」
「サンキュー!長十郎のおっちゃん!」
とりあえず。
「あんたが七代目の名前を使うとは思わなかった」
「ふん、死ぬほど嫌に決まってんだろ。けど……、それでかぐらが死ぬのはなしだッッ!」
水影組から離れがてらボルトとサラダが話している間に、私は鉛分身と入れ替わった。
「へい」
そして会話のひと段落した二人に声をかけた。
「ん?なんか言ったか?」
「うん。今どこに向かって走ってるのこれ」
「そりゃ、医療セットや忍具の補充に、マギレを回復させてオレと號の傷を完治させないことには…」
「マギレ君連れて別行動いい?行きたいところあるから」
「はあ!?」
私の言葉にサラダちゃんが眉をつり上げた。
「あんたボルトの話聞いてなかったの!?マギレは疲れてるし、あんただってその怪我なんだから――」
「えーっ私を心配してくれるのサラダちゃんこれは結婚待ったなし!!!?」
「当たり前のことを茶化さない!!」
「じゃあ燈夜も借りるよ。マギレ君おぶってもらうし体力も回復させておくから、それでいいでしょ」
「いいと言うとでも思ってんの?」
「思ってる」
「はあ、…っマギレ、燈夜。あんたたち黙ってないでこいつに何とか言ってやって…!」
「俺は別に構わないが」
「ぼ、ボクも…號さんが言うなら…」
「あんたたちねぇ…!」
サラダちゃんは眉間を押さえた。
…まあ二人は私のことをよく知っているし。
「なあ號、行く行かないはともかくとして、どこに行くつもりなんだ?」
それはそれとしてボルトが訪ねてきた。
「んー廃工場。釣糸君が襲われたとこ」
「は?」
「実は最後出て行くときに釣糸君に呼び止められたから分身残してきたんだけどね。そこで聞いた」
「…それで、どうしてそこに?」
今度はサラダちゃんが聞いてきた。
「襲われたのは釣糸君だけじゃなかったって言ってたじゃん?同じように襲われて、散り散りになったっていう彼の仲間の安否が心配でさ」
「だから様子を見に行くってこと?それこそあいつにやらせておけばいいじゃない」
「いや医療忍術が必要な怪我してるかもしれないし」
「…つまりまたマギレに治療させるってことか?」
倒れちまうぞ、みたいなこと言外に告げてきたボルトに私は手を横にパタパタさせた。
「まーそんな酷使する気はないよ。マギレ君は保険。容態が危うかったら安定までさせて、その必要なかったら基本的には一般人に変化して警務部っぽい人を呼ぶだけよ」
つって話したりなんなり少しだけわちゃわちゃ。
なんか着いて来そうになったけど…。
そっちはそっちで買い出しや準備に温存、不在中便宜を図ってくれるよう友達へお願い等しなきゃじゃんと丁寧にお断りした。
そんでもって合流地点決めてから、無事離脱となった。
足を止めた私達三人は、走っていくボルトとサラダをの背中を見送ったのち、ひとまず路地に入った。
「ひゃっ!?」
ひとめにつかない場所まで行った私はおもむろにマギレ君のポーチに手を突っ込んだ。
そっから勝手に取ったウェットティッシュを一枚出して、燈夜に渡した。
「血ぃ拭けよ親指のいい加減」
「…親指?」
言われて自分の手を確認した燈夜はそこで初めて私の血を認識したようだった。
「…、気付かなかった」
「だろうて」
「一言行ってくれればすぐ出したのに…」
「いやこっちのほうが早いかなって」
血をぬぐう燈夜の横でマギレ君に小言もらいつつ、私はウェットティッシュを返した。
そして軽く頭を差し出すように傾けた。
「はいどうぞ」
「…はい」
正確には髪を。
マギレ君は私の髪に触れ、チャクラを取るための片手印を組んだ。
そうして必要なだけチャクラを抜き出していった。
「それは、対之の片手印か?」
燈夜は興味深げに見てきた。
「うん。よく気付いたね」
「ある程度の法則は母さんから聞いているからな」
「あーチームメイトならそうか。母上ったらまったく隠さないでドンドコ組みまくってたもんなー」
「…それで、マギレはお前からチャクラを吸っているのか?」
「うんそう。なんなら燈夜も…私から安全にチャクラを吸引する方法教えたほうがいい?」
「どういうことだ?」
「私のチャクラなんか異質らしくて。そのまま吸うと火傷して最悪溶解するんよ」
「なんだそれは」
「知らん。だからそうならないために無毒化?して取り込まないとだめなんよ」
「聞いたことがない事例だが…まあ、…お前の一族だからな」
「どうも」
何があってもおかしくない、という風にすんなり信じてくれた。
うん、燈夜は物分かりの良い奴だ。悪い大人に騙されないように気をつけろよ。
「とにかく。私をタンクにするなら、私がしょっちゅうつけてるチャクラ吸引阻害の術式を抜けつつ安全に吸引する術を覚えないといけないわけよ」
「自らチャクラタンクを名乗っていくのか…」
「これもそっちの母さんから聞いてるだろうけど、私も母ほどではないにしろ凄い量のチャクラを持ってるからさー」
「そうか」
「でも知識や技能や使える忍術の量は母と違って乏しいので、だったらひとまず信用できる奴のタンクとしての稼働もってやつな」
「……考えておく」
などと雑談しつつ。
完全復活したマギレ君と、特に変わりのない燈夜を引き連れて目的地の廃工場へと向かった。
道中、私も自己再生をして、もともとある程度残している傷は残しつつ、今回の傷だけ治しといた。
うん……他者の回復は無理だけど自己に働きかける医療忍術なら私にもできるから。
もちろん人前じゃあ絶対にやらんが。
で。
「そもそもやぐらさんは伝統通りに影を引き継いだだけというかそしてそのまま維持すると判断されたからこその選抜だったんだろうだけで、彼の代から血霧になったわけでもないのに、最後の血霧の影だっただけで代名詞にされるやぐらさんかわいそう。そしてめっきり影の薄いあの黒髪伏し目の三代目水影も完全に忘却の海に漂流教室で可哀相」
「お前はまた急に何を言っているんだ?」
「独り言」
「たまにそういうときありますよね號さん…」
到着。
「まあそんなわけでミツキが屍澄真さんとそのバックに居る大名家末席に座するお馬鹿さんたちの不祥事の物的証拠を追っているんでー私が考えなしに暴力だけでカタを付けたら草の根運動が成り立たなくなるんですよ再発こわー」
「いやちょっと待ってください號さん、今なんて?」
「何が『そんなわけ』なのか皆目見当もつかないんだが、どういうことだ?ミツキが不祥事の物的証拠を追っている?」
「うん。だからミツキが出てくるまであいつらは泳がせてるの」
「初耳なんだが」
「今言ったからね」
「な、なんでそれをボルトさん達に言わないんですか…」
「んーまあ、ミツキをあてにして甘えが生じたら困るから?ミツキが必ずしも証拠をとってくるとは限らないし」
「それは…確かに…」
「それならミツキ側とボルト達で二通りのやり方を、それぞれ保険があるなんて知らずに全力尽くして欲しいわけよ」
挟み撃ちのかたちに指先を突き合わせながらてこてこ歩く。
会話に気をとられてる二人は、私のあとに漫然とついてくる。
「…この件…バックに大名家の人間が関わっているというのは確かなのか?」
「うん。だから下手に目立つと気取られて逃げられちゃうのよ」
「じゃあ…元を断つために、いままで…相手の懐に入りつつ手加減していたんですね」
「そうそう」
完全に遊んでいたけどそういうことにした。
お喋りをしながら、目的の場所に到着した私は足を止めた。
「!」
「あれは!」
その代わりに、今までついてきていた二人が駆け出した。
そこに倒れてるのは、固まった血の中で気を失っている青年。
「この顔…昨晩見た顔か」
「! なら、彼がその…」
今朝の乱闘で屍澄真にやられたところ幻術で助けておいた釣糸君の仲間だ。
勿論昨晩の不良抗争にも参加していたため、燈夜がその顔を覚えていたようだ。
私はゆっくり踏み出しながら、青年を調べるマギレ君に声を掛けた。
「傷の容体は?」
「……そこまで深手じゃないみたいです。このまま病院で適切に処置すれば回復すると思います」
「そりゃよかった」
私はそうしておもむろに踵を返し、別の不良が倒れている場所へ歩き出した。
疑問符を浮かべる二人に、ついてくるよう促し、また同じようにして一人二人と戦闘不能の不良を見つけさせた。
「彼も…気を失ってはいますがこのままで大丈夫そうです」
「…じゃ、人呼んでこようか」
最後の不良の安否確認が済んだところで私は印を組み、一般人女性にボフと変化した。
「いや、待て號」
「ん」
出て行こうとした私をしかし燈夜が引き止めた。
「人を呼ぶのはマギレに頼めるか」
「別にいいいけど」
「え、あ、はい…じゃあ行ってきます」
聞きたいことがあるらしい燈夜の様子に免じて、私は変化を解いた。
代わりにマギレ君が一般人男性に変化し、廃工場を出て行った。
「…マギレも思っているだろうが」
そこに倒れる不良はノーカンとして、二人になったところで燈夜は切り出した。
「お前が手を加えたのか?」
「と、いいますと」
聞き返せば、燈夜はふうとこめかみに指先を添えて溜め息を吐いた。
「どれもこれも、お前が真っ直ぐ不良の元まで歩いてきたことについてはまだ、お前が感知タイプであり瞳力のこともあるからさておくとしてもだ」
「うん」
「普通に考えれば、蜂谷以上の深手ばかりで、死者も覚悟していた……だが…どの不良も残らず、蜂谷やボルトよりずっと軽傷であり、怪我の度合いもほぼ均一なのはおかしいだろう」
「そりゃそうだ」
まあ結構雑にしたから、流石に気付くよね。
「その口ぶりは、そういうことでいいんだな…?」
「まあ、うん。気取られない程度に幻術でこう、スプラッタ回避的な」
「…いつも思うが…なぜお前は良い行いした時も、誤解をまねく様な変な隠し方をするんだ?」
「そりゃ、周知されたり褒められるためにやってないからですけど」
「疲れないか?」
「……それに対する答えはちょっと置いてないですね」
ニッコ、と笑顔で答えれば、燈夜は何か察したように「そうか」と呟いた。
そしてそれ以上は聞いてこなかった。
そうだ。
聞くな。
私に対する質問で、その意味で、その言葉を吐かせようとするな。
「関係無いけど、燈夜お前ほんと背でけえよな」
「唐突だな」
その後は適当な雑談をしつつ、マギレ君が人を呼んで来るのを待った。
やがてマギレ君と、複数の…この里における警務部らしき忍者の気配がやってきた。