□19 修学旅行編ボルト気絶まで[10p] ※単独行動禁止というのは捏造です
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「――文淡」
「なっ…!?」
屍澄真の声に呼応するように突如発生した水柱。
そこから姿を現した女の雷遁刀が、ボルトの雷遁手裏剣を弾いた。
「こーんな子供騙しの雷遁じゃ…本物には通じないわよ。ボーヤ」
展望台ぶりだね、文淡ちゃん。ヒヒ。
っと、それに立て続けて三本ね。
人影を抱えた水柱が発生する。
「一朗太」
「承知」
「八朔」
「オウ!」
「蛇苺」
「畏まりました…♡」
これが名物、屍澄真リーダーによる無駄にかっこよい『イカれたメンバーを紹介するぜ!』である。
登場シーン頑張って考えたんやろか。
「なんだこいつら!?」
最後はそんな声を上げたボルトの足元から。
「巨峰」
「うオォぉォォオーう!」
爆裂するかのように激しい水柱とともに。
なんかスケキヨみてーなの出てきて終了と。
ボルトの影分身はそんな巨峰にまとめて捕まり、掴まれたそれぞれの四肢を握り潰されて消えた。
ウフフ。
「チッ…仲間呼びすぎだろ!」
「死にゆく火影の息子へ、オレなりの敬意なんだがあ?」
そっから特に展開は変わらず。
私も大人しくしてればスルーされるようで。
文淡が私をチラと見て屍澄真に何やら
「あの女の子、杞憂でなければ昨日私の気配に気付いた子だわ」
だのとささやいていたが、それに屍澄真は、ただ肩を竦める仕草で返していた。
言葉にするまでもない。あいつは雑魚だ、杞憂だろって感じで。
ウフフ。
そして屍澄真はシナリオ通り、ボルトのボルトストリームを水錬の術で容易く迎え撃った。
あ、やべべ。悲痛な反応せなな。
「そんな!ボルト君ー!」
そのボルトストリームって四代目譲りの命名センスなんなんだよー!
なんちて。
「これが本物の命のやりとりだ……高い授業料だったな」
言葉ながら、屍澄真はついと視線を私へと向けた。
その眼光と殺気に、私は頑張って息を呑んだ。
「っ…」
自分、大笑い良っすか?
「ボルト!」
私が大笑いする前に、かぐらが水に沈んだボルトに駆け寄り、助け起こした。
屍澄真の視線がそちらへ向いた。
良かった、噴き出さずにもった。
「そしてこれが、血霧の里…『新』忍刀七人衆だ!」
ブッフェwwww頑張れ私、耐えろ私。
うぅ…愉快な仲間達がなんか言ってるぅ…。
「…へっ…六人しかいねえじゃねえかよ…」
「はァ…まだ分かってないのか。…かぐら!そいつを斬れ」
「ッ!……オレが、…七人目」
なんか…ごめんね…。
シリアスの横でこんな笑いこらえてて…。
戦争の話とかしてるし。
かぐら頑張ってボルトを切りたくないって屍澄真にヒラメカレイを突き付けたり。
そんでもって。
「―――命拾いしたな火影の息子。そして臆病者のお嬢ちゃん」
恩の上乗せやな。
「…帰って伝えるんだ。革命が始まったってな。…行くぞ」
「行くな、かぐら…!」
「…。…オレはやはりどこまでも…四代目やぐらの孫なんだ…」
「かぐらーーッ!!」
そろそろいいか。
「ボルト君!」
私はハッと気づいたようにして、ボルトを支えるべく駆け寄った。
「かぐ…ら…」
もはや水上に留まるので精一杯、力の入らない身体を引きずるように、必死に手を伸ばすボルトは、そのまま、しかと意識を失った。
ふう。
「ブッハハハハハッヒーーーッアッハハハハハ!!はーーー、もう辛抱たまらんわ…片腹痛くって…笑止が激烈」
「!?」
私もよく我慢したと思うよほんと。
かぐら君そんなびっくりした顔しないで。
「何…?」
「何がおかしい…?」
あ、文淡ちゃんを始めに向こうのみんなもびっくりして振り向いた。
その間にも私は「ん?クッフフフ…ッ」と笑いながらボルト抱えて跳び、沈むことの無い観戦エリアに置いといた。
「っはァ、笑った笑った」
そして水上へ再び着地した。
「號さん…?いったい何を…」
かぐらが思わずと私の名を呼ぶが、それを無視し、私は蛇苺に視線を寄越した。
そして、先ほどの蛇苺が浮かべていた笑みのように。展望台で文淡にしたように。
ニィと笑んだ。
「…なんですの?」
「私の大好きな栗霰串丸の長刀縫い針は誰が貰うの?」
「……!?」
蛇苺だけじゃなく、その場の全員が、私の発した言葉の意味を理解し、困惑と動揺を見せた。
「……大好きな…?」
誰かが…。
あれは一朗太か。一朗太が思わずと、その到底疑わしい装飾語を口にしてくれた。
いい質問だ。
「クク…」
栗霰串丸。言わずと知れた超長身痩躯の残虐な男。そしてかつての縫い針の使い手。
私の大好きなキャラクターでもある。
「だって良くない?素晴らしくない?あの長すぎる手足を持て余してる全てのポーズ…。スマートにワイヤーをグチャグチャシュカピンとしてエッグイ肉団子生成するあのクールイズホットなお姿…。そういえば私の記憶が正しければガニ股だよねあの人お下品なガニ股いいよね…いい…。よってアニオリご都合ペチャクチャ小物ムーブは許さんそんなことよりなによりあの物の怪めいたシルエットとかさ…獅子のような豊かな鬣に決して晒さぬ素顔そして声すら晒さぬ無口くんなのにノースリ無防備な脇がンァアたまらんちんしかも彼あの身長213.0cmに対して体重79.9kって軽すぎるんだよなぁ…そんな11月18日生まれさそり座あこれ萌ポイントね享年24歳AB型の性格☆非道がさ、これはホンマか知らんがホンマだったら嬉しい師匠殺しに兄殺しって…、ハァ~~~~~(クソデカ溜め息)!たまりませんね子作りしたくなってきた」
「は…!?」
八朔もびっくり。
「何を、言ってるんだ…?君は…?」
かぐら君もびっくり。
「あ、兄…折り…?」
文淡ちゃんもびっくり。アニオリな。
「…?」
「……!?」
言葉にならない巨峰に一朗太もびっくりドンキー。
「まるで、見てきたかのように…、それに…その情報は!一体どこから!」
「よせ蛇苺。どうせデタラメだ」
「そ、う…ですわよね。ええ、そうですとも…あてずっぽうのマグレに決まってますわ…」
おや、蛇苺はもしやお詳しい?流っ石。
「…まぁ、誰でもいいけど。屍澄真さんはもう少し慎重になりなよー。文淡ちゃんが私に気を配れっつったのに無視なんかして」
「ちゃん…?」
「ハハァ……どうやら、ただ者じゃないって言いたいらしいな。それとも、大層なハッタリでオレ達の戦意を削ぐつもりってんなら…」
「あ、バレた?」
って言い終わらないうちにうおびっくりした。
「随分と舐めた口を叩くお嬢ちゃんじゃないか! !」
文淡の雷遁刀を、クナイで受け止め――否。
火遁の被膜で覆った私のクナイに触れた途端、彼女の刀はずるりと溶けた。
流れてきた雷遁?火遁被膜の下のクナイに纏わせてる私の雷遁が相殺したんで何ら被害はない。
いい反射神経で飛び退いたおかげで、文淡ちゃんにもそれ以上の被害は及ばなかったが。
「火遁の木ノ葉と喧嘩するっていうのなら、つまりはこういうことだけど」
ジュッボチャボチャと文淡ちゃんの刀の先が水底に沈んだ。
彼女は焼き切れた愛刀を見て舌打ちをした。
「ほォ」
対する屍澄真は興味深げに私を見た。
「大事なオタカラを溶かされても知らないよ」
「そりゃ怖いね。脅しとしては上等だ。だが、分かっちゃいねえようだなお嬢ちゃん」
私の言葉に屍澄真は手を広げて答えた。
「火遁で忍刀が溶かせるってんなら、なーんで今この時代まで忍刀は七本とも現存してんだ?」
「いや使い手と使い所が素晴らしかったからでしょ」
「どうだかな…。まァいい」
屍澄真はそこでパンと手を打った。
「小癪なお嬢ちゃんをここでやっちまうってのも悪くはないんだが…。かぐらの頼みを無下にする気は無くってよ」
わざとらしく視線と肩をもって かぐらを強調しながら屍澄真はご機嫌に告げた。
「あそうそう、知りたいのは縫い針の使い手だったな。ご明察、それはお前が熱い視線を送っていた蛇苺のもんだ」
「なるほど。覚えておくよ」
「オレと蛇苺も覚えたぜ。先代の縫い針の使い手…栗霰串丸を面白おかしく侮辱してくれた、トワニ號をよ…」
七人の視線が私に集まった。
うち六つは殺気。
六人合わせてようやく胸がつかえるほどの殺気とは。
笑っちゃうね。
「あ、そうだ。かぐら君」
気にせず私はかぐら君に顔を向けた。
意に返さない様子の私に屍澄真は「ホォ」と目を細めたりしていた。
「…!…く、君?」
そしてかぐら君。いままでずっと『さん』だったからびっくりしてら。
ままええんだわそれは。
「キミに一つだけずっと言いたかったことがあるんだわ」
「…?」
「やぐらさんのせいにするな」
「え…?」
「やぐらさんのせいにするな」
「ハッ!何を言うかと思えば」
屍澄真は噴き出すように吐き捨てた。
「ならかぐらの殺人衝動はかぐら自身のものって言いてぇわけだ」
「ああうん、そうそうそう。屍澄真さんいいこと言う」
「!、なっ…」
「フッ…オレは別にそれでも構わねえぜ?」
屍澄真と私の言葉に、かぐら君はショックを受けたように、何かを言いたそうにしていたが、それが規則性のある言葉となることはなかった。
殺人衝動が自分のものではないと否定したい気持ち。
血の繋がりを関係ないとするのなら、確かに、この恐ろしい衝動は自分だけに寄るものなのだと、認め受け入れ肯定しなくてはならないのか?という気持ち。
ないまぜのぐちゃぐちゃで、かぐら君はすっかり黙り込んでしまった。
んーう…不完全で醜い自分を受け入れ、知り、どう付き合って生きていくかに頭を回すべきところなのにな。
怖くて醜い自分を認めたくない受け入れたくないで止まっちゃだめだよな。
「フン…話は終わりだ……行くぞお前ら」
沈黙したまま動かないかぐらを見て、屍澄真は号令を出した。
それに従い、かぐらと他五名は黙ったまま、それぞれ踵を返し始めた。
屍澄真はかぐらが追い付くまで待って、その肩を叩いた。
そして再び私に目を向けた。
「また会おうぜ、トワニ號」
「忍刀を泣かせないでね。崇高なる干柿の屍澄真さん」
「言ってろ」
そうして彼らは通路の闇へと姿を消した。
姿と気配を消してずーっと傍に貼り付いている私の鉛分身に、まー気付きもしない様子で。
そんな私の幻術にもまー気付きもしないご様子で。
私は文淡ちゃんの刀を超苦労してやっとのことでなんとか溶かした代わりに、無様に打ちのめされちゃったって暗示を何の疑問もなく受け入れちゃってさ。
……おっと。
やっと影分身がマギレ君と燈夜に事情を説明し終えて消えたようだ。
じゃ、待つかね、私も。
新しく出した鉛分身に水遁させてと…
「水遁・水龍弾!雷遁・感激波!イヤーッ!」
「グワーッ!」
とりあえず水龍弾と感激波くらってから、柱間モデルの大剣で肩とかをこう…
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
術式壊さない部位数か所に軽く刀傷くらっといた。
そして上に避難させといたボルトの傍らまで行く。
ボルト抱えて跳躍し、ここに着地したまま力尽きた感じで横になり、寝ときました。
正直、兄さんの疲労回復が無い目覚めってこともあって、寝足りなかったし。
後は頼んだぜ燈夜とマギレ君。
おやすみンゴ。