□19 修学旅行編ボルト気絶まで[10p] ※単独行動禁止というのは捏造です
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「おーい、朝だぞー」
「號ーー!!起ーきーてーー!」
「ッ!?」
「うわっ!?びっくりした」
「急に目ぇカッ開くなよ…」
杞憂だった。
たんぽぽちゃんとにとらちゃんはちゃんと起こしてくれたし。
「…あっ、あー、あーあーあーごめんごめん!おはよう。起こしてくれてありがとうー」
私も。
朝目覚めてすぐ慣れない気配を感じると、一気に覚醒するような体質だったみたい。
「おはよう」
「なかなか起きないって言ってたのにめっちゃ寝覚めいいじゃん…」
「あはは、なんでだろ。枕が合わなかったからかな?」
「じゃ、私達はもう行くけど…本当に一緒に来ないの?」
「うん、ごめんねー。日が昇るまで朝練してから燈夜とマギレ君つついて遊びに行くんだわ」
「こんな日まで朝練?」
「まー、メタルやイワベエとかもしてそうだけどね…。ま、いいや、じゃーね」
「またあとでね」
「行ってらっしゃーい」
つって二人に手を振った私も身支度を整えた。
あひるちゃんはまだ起きない。
まあ、まだ日の入り前だし、当然だな。
……彼女一人残して目覚めぼっちさせるのは気が引けるが。
でも彼女も昨日の夜のうちにそれでOKくれてるから。
たんぽぽちゃんとにとらちゃんは日の出を見たら一度戻ってくるので、そこであひるちゃんと合流して三人で里を回るらしい。
うん。何も問題なし。
身支度を終えた私は、心置きなく部屋を後にした。
ホテルの庭に出た。
日の入り前の外は暗く、朝霧は深い。
展望台に向かった二人が心配になりちょっと瞳術を使ってみたが…、将来的に下忍となる道を選択しなかったにしろ一応現役忍者学校生といったところか。
同室の二人は問題なく展望台へ走っているようだった。
瞳術を収め、湿った芝生を歩いて庭を進む。
「フン!ハッ!フンッ!」
先ほどから聞こえてきていた声に近付けば、ようやくその姿が視認できた。
予想通りの緑色だ。
「やっほおっはメタル君」
「號さんでしたか!おはようございます!早いですね」
シュタッと姿勢を正したメタル君は、相変わらず元気ハツラツなようだ。
「そっちこそ、日の入り前から素振りなんて精が出るねー」
「ええ!青春は時と場を選びませんから!…號さんも修業ですか?」
「いや、散歩。のつもりだったけど…そうだね、見学してていいかな」
「えっ」
見学、の言葉にメタル君がビシ、と固まった。
「ん、あ。ああごめんごめん今の無し」
そういや見られて緊張するタイプだったなコイツ。
「その辺で軽く体操したらまた戻るよ」
「あ、えっと。そうですか」
とりあえず私は濃霧に紛れるように、メタル君から適当に離れた。
そこで適当に体操しつつ、鉛分身をいくつか出し出発させた。
そして体操を終えた私は、メタル君に一声かけてからホテルのロビーへと戻ったのだった。
早朝ゆえにがらんどうなロビーのソファは居心地が良く、鉛分身の感覚共有を受信しながら、いくらでも座っていられた。
しっかしなーんで悪役とか不良ってのは廃墟に溜まりたがるんだろうか。とか。
釣糸君とその他不良たち屍澄真から頑張って逃げろー危なかったら幻術とか使って気絶程度にしたるけぇのー。とか。
水月ウヒヒーしに行ったら即無言の水鉄砲貰ったり。とか
そんな感じで鉛分身の感覚共有を受けたりしてな。
暫くして。
すっかり日も出て人の気配もポコポコわいわい出てきた辺りで、ロビーを通りがかるボルトの姿を見つけた。
当然立ち上がる。
「ボルト君!おはよう!」
「ん?號じゃねえか、おはよ」
「朝焼けで真っ赤っかな朝霧にお出かけ?」
「朝焼けって…もうとっくに日ぃ昇り切ってんぞ?」
「あらそう。そんで一人でどこ行くの?」
「かぐらに呼び出されてさ。ホテルに連絡入ってたんだよ」
「単独行動じゃん。一緒に行くよ」
「別にいいけど…お前も予定あるんじゃねえのか?」
「いいのいいの分身置いてくから」
ボン、と影分身を出して見せればボルトは納得したようだった。
「お前も真面目だよなー。単独行動くらいみんなやってるって」
「まあイワベエ君みたいに、知らないところでされちゃどうしようもないけどー。知ってて見逃すのはちょっと違うでしょ」
「そんなもんかあ?」
「少なくとも今はそんな気分でしたね」
「ふーん」
などと。
軽口を交わしながら私とボルトはすっかり明るくなっている朝道を突き進んだ。
いや、普通に歩きだけど。
「そういや日の出の霧は見た?見事な朝焼け色だったよねー」
「窓越しになら見たぜ。ああも見事に真っ赤だとちょっぴり気味悪くもあるよな…」
「そう?」
「だってよ、いのじんのやつ、血の霧みたいだなんて言うんだぜ!?」
「あらあら。 …そういえばどこに向かってんの?」
「ん、ああ。霧隠れの里の訓練施設だってばさ」
てことでたどり着いたる訓練施設。
霧隠れのアカデミー訓練場と造りが似ているが、材質や補強部の量からしてずっと頑丈そうだ。
そして。
チャクラ感知でも分かる、沢山の気配。
わざわざ水底でスタンバってんなー。
笑えてくる。
「そいや今思ったんだけどさ、かぐらさんとボルト君って同じ四代目影の孫なんだね」
「は?…あー、言われてみればそうだな」
「だからといってどうということはないが」
「なんだよそれ」
「何も?」
「変な奴」
「どうもー」
「褒めてねえってばさ」
施設の通路を遠慮なく歩くボルトも、ヒラメカレイの素振りをしているかぐらも、水底に気づいていないようだが。
うん。感知タイプの忍が重宝されるわけだわ。
なんて考えていたら。
「……孫と言えば…」
ふと、ボルトが何か思い出したように顔を向けてきた。
「號はかぐらのこと、どう思ってんだ?」
「どう?」
「昨晩、あの時のメンツと、かぐらと…色々と話をしたんだけどよ。女子の號だけハブいちまってたからさ」
「そうなの」
「燈夜は『號もそう言う』つってたけどさ」
あー。うん。
「何がそう言うだかしらんが、私が見た感じだと、確かにちょっと気にし過ぎだとは思うよね」
ぶっちゃけオメー固有の殺人衝動をやぐらのせいにすなっていう。
都合の悪い人格を持ってるからってその責任を祖父になすりつけんな、とは…言わないが。
「……つまり?」
「ん。ああ。今ここに居るボルト君が、七代目でも四代目でもない、ただのボルト君であることと同じさ。
流れる血がどんなものであろうと、かぐら君はかぐら君でしかないのに気にしすぎだよなーってこと」
「…! ああ!そうだよな!」
「うん」
あれまあ嬉しそうに笑う事。